「歩道の終わる所」(1950) 絶望的状況下での運命的な出会い

 

ギャングだった父親への憎しみから、悪に対して異常なまでの怒りを秘めたひとりの刑事マーク・ディクソン(ダナ・アンドリュース)。

その怒りゆえ、犯罪者に対する粗暴さが問題視され処分を受けた矢先、ある重大な事件の容疑者ケン・ペインをうっかり殴り殺してしまいます。

窮地に追い詰められ、取り繕うディクソン。しかしそんな中ディクソンはモーガン・テイラー(ジーン・ティアニー)という女性に出会い愛し始めてしまいます。後のない絶望的状況下での運命的な出会い。

やがてペインの死体が発見されると、思いもよらぬ人物へ容疑がかけられてしまうのです_。

 

 

歩道の終わる所(1950/米)

「FILM NOIR MASTERPIECES COLLECTION」というDVDボックスを手に入れ、それに収録されていた「歩道の終わる所」(Where the Sidewalk Ends/1950米)を観ました。

フィルム・ノワールの代表作、ローラ殺人事件(1944)で監督デビューしたオットー・プレミンジャーの監督作で、ローラ殺人事件と同じくジーン・ティアニーとダナ・アンドリュースが主演を務め、ダナ・アンドリュースに至っては、屈折した刑事役と役どころまで似ています。

さて、事態は深刻です。なんせ犯人は自分。皮肉にも、あんなにも憎んだ父親と同じく自分は犯罪者になってしまったのですから。

自分の中に流れる忌まわしき血への絶望と、新しい出会いから生まれるわずかな希望。忌まわしき血が勝つか、良心が勝つか。とにかく戦う相手は自分です。

ディクソンは荒っぽいですが決して悪党ではありません。

行きつけのカフェでの母親のような店主とのやりとりや、ディクソンを心から心配してくれる相棒の存在からその人となりは浮かび上がります。

ところが、ようやく愛すべき女性と出会い、これからという時にこんな事態に陥ってしまったのです。

ディクソンは感じます。自分には犯罪者の血が流れているのだと。

しかし、愛する人が窮地に追い込また時、ようやく覚悟を決めます。

スタイリッシュでクールなタイトルバックと、スリルを感じさせる絶妙のコントラスト。

ディクソンやモーガンの父親など、人間味ある登場人物たちと存在感抜群の悪党。

実の夫が担当しているというジーン・ティアニーの衣装は今回もすばらしく、気品溢れる彼女をよりいっそう高貴な存在にしています。

そして、ラストのいかにもノワール的な立体駐車場のエレベーターがまた良い。良すぎです。

スリリングでハードボイルドなのにセンチメンタルでロマンティック。個人的にとても好きなタイプの映画でした。

 

 

Story

ディクソンが目の敵にしている悪党スカリーシ(ゲアリー・メリル)の開く闇賭博場。その晩大勝ちしていたテキサスの富豪モリスンが刺殺され、一緒に賭博場へ来ていたケン・ペインに容疑がかかる。ペインがスカリーシに濡れ衣を着せられていることをすぐに悟ったディクソンは、裏を取ろうといち早くペインの部屋へ向かうが、泥酔状態のペインがディクソンに襲いかかり、格闘の末、ペインを死なせてしまう__。

作品情報

監督■オットー・プレミンジャー

脚本■ベン・ヘクト

原作■ウィリアム・L・スチュアート

出演■ダナ・アンドリュース

ジーン・ティアニー 他

1950年7月7日公開(アメリカ) 95分 モノクローム スタンダード

 

 

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