「女は女である」(1961)とアンナ・カリーナ裏話《今日のおすすめ配信シネマ Vol.2》
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女は女である (Une femme est une femme 1961🇫🇷🇮🇹)
学生時代に雑誌『Olive』で紹介されていて知った「女は女である」という映画を初めて観たのはいつだったでしょう。
見たいと思ってからずいぶん時は流れ、20代になってようやく観たように思いますが、気まぐれでチャーミングな女の子が主人公のとてつもなく可愛い映画でした。
その日から好きな映画を聞かれたら、満を持して『女は女である』と答え、赤色のセーターとタイツを買い、眠る時には髪をツインテールで結ぶと、よくわからない本を片手にベッドへ入ってみたり、レースのついたパジャマや真っ白なネグリジェを探しまわったりしました。
そして、女の気まぐれに振り回されてくれるやさしくてハンサムな男の子との出会いをひたすら夢見ました。
それからまた時は流れ、たくさんの映画を知り、「女は女である」がいちばん好きな映画でなくなっても、私にとって「女は女である」が特別な映画であることに変わりありません。
さて、ところが今ここにある『ヌーヴェルヴァーグの時代』の「女は女である」のページを読んでみて、少し驚いたことがあったのでここに記しておこうと思います。
まずはゴダールとアンナ・カリーナの出会いに軽く触れておきます。
モデルをしていたアンナがテレビコマーシャルに出ていたのをゴダールが見初め、「勝手にしやがれ」(1960)の端役のオーディションへ呼ぶも、ヌードシーンがあると知ったアンナは無視(!)
その後「小さな兵隊」(1963)への出演でようやく出会ったふたりは、瞬く間に恋に落ち一緒に暮らしはじめます。
「女は女である」は、当初アンナ・カリーナの主演予定ではなかったそうですが、アンナがほかの映画に出演しゴダールは激しく嫉妬!結局アンナを主演に迎え、撮影に入ったのです。
さてここからが本題。
本作の撮影中にアンナはゴダールの子を妊娠し、撮影後の2月に結婚したのです。
「女は女である」を観たことのある人ならご存知でしょうが、この映画ではアンナ演じるアンジェラが、突然恋人(ジャン=クロード・ブリアリ)との子どもが欲しくなり、アンジェラに思いを寄せるもうひとり(ジャン=ポール・ベルモンド)も加わって、子どもを作るべく三角関係の恋愛模様が描かれているわけで、何というタイムリーなアンナの妊娠なんでしょう!と驚いてしまったのです。
ただ残念ながら結婚後の春にアンナは妊娠6カ月で流産してしまいます。アンナの精神状態は非常に不安定になり、その秋には一度目の自殺未遂…。「女と男のいる舗道」(1962)や「はなればなれに」(1964)の撮影中にも自殺未遂を繰り返し、ついにゴダールとは破局。
あの美しくチャーミングな笑顔の裏にそんな苦しみが秘められていたとは全く知らずにいましたが、そうして考えみると「女は女である」は、アンナ・カリーナがいちばんしあわせだった時代の映画なのかも知れません。
そんなアンナ・カリーナもつい先日、2019年12月14日に永眠されました。ちょっと前に来日されたばかりでお元気そうだったのに、非常に残念ですが、彼女の若く美しきすばらしい時代がフィルムに収められていることに心から感謝したいと思います。
ところで、話は変わりますが、ピチカート・ファイヴの楽曲の中に「新しい歌」という曲があるのですが、この曲は「女は女である」のことを歌っているのではないかと長年思っているのですが、どうでしょうか。
「ゆうべ観た映画の恋人たちは ケンカばかりしては口づけしていた」ですよ。なんだかそんな気がしませんか?
ともかく、私にとって特別なこの映画まで、今ではプライムビデオで無料配信中です。映画ファンにとって夢のような時代になりました。
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作品情報
監督 ジャン=リュック・ゴダール
脚本 ジャン=リュック・ゴダール
出演 アンナ・カリーナ
ジャン=クロード・ブリアリ
ジャン=ポール・ベルモンド 他
音楽 ミシェル・ルグラン
撮影 ラウール・クタール
84分 カラー
参考文献
おはようございます。
私もアンナの子供を産めない哀しいエピソード、本で読んだのですが二人の間に子どもが誕生していたらまったく違う人生になったでしょうね…
それにしても最近のアマプラ凄いですね⤴
シネフィルKTさま
おはようございます^_^
ほんとにお子さんがいたらまったく違う人生だったでしょうね。アンナは美しいだけでなく、悲しみの中にあってもすばらしい作品を残した実力派の女優さんでもありますね。