若尾文子の映画「東京おにぎり娘」(1961)芯の通った小粋な下町娘を若尾さんが好演!
待望の初DVD化で先月(2017年11月)発売されたばかりの若尾文子さん主演映画「東京おにぎり娘」を早速買って観てみたのですが、これがまぁ傑作なんです。テンポ良し、ストーリー良し、若尾さん演じるまり子のキャラクター良しと三拍子揃った上に周りを囲む俳優陣がまた良い。良すぎなんです。1961年には「妻は告白する」「婚期」「お嬢さん」など多くの名作に出演している若尾さんですが、「東京おにぎり娘」も全然負けてないです。むしろ個人的には一二を争う程良かったですねぇ。なぜ今までDVD化されなかったのか不思議で仕方ないです。
東京おにぎり娘(1961)
Story
新橋の駅前にある老舗テーラーの娘まり子(若尾文子)は、母を早くに亡くし父と弟の三人暮らし。頑固で昔気質の父鶴吉(中村雁治郎)の店はすっかり閑古鳥だが、家計を心配しつつも明るく前向きに暮らしている。ある日幼なじみの五郎(川口浩)との縁談話が持ち上がりその気になりかけたまり子だったが、五郎本人は当分そんな気無い様子。そこでまり子も結婚は後回しにして、偶然再会した父の元弟子・幸吉(川崎敬三)から父に内緒で金を借りると、テーラーを改装しておにぎり店を開店させる。店は大盛況で忙しい中、五郎が見知らぬ女性と歩く姿を目撃するまり子。同じ頃、父に隠し子がいた事が発覚するが、その隠し子こそ五郎と一緒にいた女性・みどり(叶順子)だった。恋に仕事に忙しく、つらい事も持ち前の明るさとしたたかさで乗り切る下町娘まり子の人生や如何に…?
Review
★★★★★ 5
まず若尾さんの美しさ。眩しすぎて直視できないほど輝いています。そんな若尾さんと、下町娘らしいはきはきした物言いのさっぱりしすぎなまり子が何ともマッチして堪らなく良いんですよねぇ。私この映画を観て思ったんですけど、ミステリアスな美女系より小粋なさっぱり娘系の若尾さんの方が断然好き!観ているだけで元気がもらえるたくましい下町娘まり子がもうハマリ過ぎ!特に女性にお勧めしたい映画です!
見どころピックアップ
- まり子のちょっぴりしたたかで芯の通った下町娘キャラが本当に良いです。下町娘らしく非常にさっぱりしていて父に「この店ちょうだい」だとか三平(ジュリー藤尾)に「もう手伝いに来るな」とかハッキリキッパリ言う。そんなまり子が酒を飲んでくだを巻くシーンがあるのですが、ここ良すぎてもう泣けちゃいましたね。つらい事があっても、飲めない酒を一晩飲んで気持ち切り替える姿は観ていて爽快。女は強くなくっちゃと改めて教えられました。
- 鶴吉役の中村雁治郎さんがまた最高に良いんです。頑固おやじが年取ってちょっと弱気になりだした感がもう身体中から自然と滲み出てます。どうしてこんなに上手くできるのでしょう。芸達者とはこの方のことです。
- 鶴吉が入り浸っている麻雀屋の女将はまゆう姉さんが(藤間紫)これまた良いキャラクターしてるんです。事あるごとに周りの人が世話を焼き合い、ご近所や親戚付き合いが盛んで人情味溢れる下町の雰囲気が丁寧に描かれているのもこの映画の見どころだと思います。
- 男らしく爽やかだけどちょっとつれない川口浩さんに、奥ゆかしいようで厚かましい川崎敬三さん。それにおとぼけキャラの沢村貞子さんはいつも通りの配役で何だか安心しちゃいます。
- 三平役のジュリー藤尾さんもすごく良いです。三平の存在によって下町の雰囲気がさらに出ていました。
- おにぎり店の客の社長さんを演じている伊藤雄之助さんもまぁ何とも良いキャラクターなんです。あの余裕のある感じね。最高過ぎました。
作品情報
出演■若尾文子(直江まり子)
(二代目)中村雁治郎(直江鶴吉)
川口浩(白井五郎)
川崎敬三(村田幸吉)
叶順子(みどり)
ジュリー藤尾(三平)
監督■田中重雄
脚本■長瀬喜伴、高岡尚平
1961年5月24日公開 91分 カラー
以上、若尾文子さん主演映画「東京おにぎり娘」のご紹介でした。
※こちらは残念ながら今のところレンタルの取り扱いはないようです。