華麗なる賭け
こんばんは。
今夜の映画は「華麗なる賭け」(1968年アメリカ)です。
この映画は、「夜の大捜査線」(1967)でアカデミー作品賞など5部門を受賞したノーマン・ジュイソンが監督し、その翌年に公開された映画となっております。
主演を務めるのが、「シンシナティ・キッド」(1965)でもノーマン・ジュイソン監督作品で主演したスティーヴ・マックイーン。いいですよね、スティーヴ・マックイーン。何とも言えない色気があります。「シンシナティ・キッド」も観ましたが、良かったです。映画好きなら一度はこの方にはまってしまうのではないでしょうか。
そして相手役には「俺たちに明日はない」(1967)でボニーを演じ、一躍その名を知らしめたフェイ・ダナウェイ。これまた魅力的な女優さんですね。確か村上春樹の小説「1Q84」にもこの映画のフェイ・ダナウェイについて書かれた箇所がありましたね。
私も大好きな作品で何度も観ましたが、村上春樹さんの言う通りとにかく洒落た映画ですので、お洒落好きな方は参考までに一度観ていただいても損はないと思います。
それでは作品情報をどうぞ。
作品情報
Story
青年実業家で大富豪のトーマス・クラウンは、スリルに魅せられ、かねてより計画していた銀行強盗を初顔合わせの男たちに命じ、見事に成功。その後、銀行が加入していた保険会社の調査員ビッキーは、マローン警部と協力して調査を行ううち、トーマスを犯人と睨むようになるものの、同時に彼に心惹かれてしまう。一方クラウンは、再び銀行を襲って南米に逃れる計画をビッキーに打ち明けた後、その計画を実行に移すのだが…。
出演■スティーヴ・マックイーン
フェイ・ダナウェイ
ポール・バーク
ジャック・ウェストン
監督■ノーマン・ジュイソン
脚本■アラン・R・トラストマン
音楽■ミシェル・ルグラン
1968年6月19日公開(アメリカ) 102分
それでは久しぶりに観てみます。感想は後ほど。
感想・レビュー
★★★★★ 5
何度観てもやはり良いものは良いですね。スティーヴ・マックイーンは文句なくカッコ良いですし、フェイ・ダナウェイは、ファッショナブルで知的でおちゃめなヴィッキー役が見事にはまってます。まさにクールで洗練された大人のラヴ・サスペンス。そしてストーリーやファッションだけでなく、画面を分割し、様々なカットを差し込むシーンや、ミシェル・ルグランの手がける場面音楽の数々、とにかくどこをとってもお洒落!お洒落すぎます!
華麗なるトーマス・クラウン
ホテルの廊下を男が歩いてくるシーンから物語は始まります。部屋ではトーマス・クラウン(スティーヴ・マックイーン)が男を待ち構え、自ら計画した銀行強盗の実行犯の「面接」をします。部屋は暗く、面接に来た男アーウィン(ジャック・ウェストン)をライトで照らしつけ、自分の姿は逆光で見えないようにしてあります。音声も変換し必要最低限の指示を出すと、アーウィンに車を買う金を投げ渡すトーマス。戸惑うアーウィンが口を開いた瞬間、「質問はするな。知る必要はない。お互いのためだ。」と黙らせます。
いきなりカッコ良すぎなトーマス・クラウン。できる男の香りがプンプンしてます。ミシェル・ルグランの場面音楽も非常に効果的且つお洒落なんですよね。一瞬で物語りに引き込まれてしまいます。
銀行強盗
オフィスで部下に的確な指示を出し、早めに仕事を切り上げると、銀行強盗の実行犯の男たち5人それぞれに自ら電話をかけます。男たちは言われた通りスマートにそれぞれの役割を果たし、見事に銀行強盗を成功させます。最後に金を運んできた車が去ると、すぐにそこから金を回収し、豪邸の部屋でひとり祝杯をあげるトーマス。すぐにジュネーヴに飛び、匿名口座を開設して金を預けると、計画は無事終了。あとは小型飛行機やゴルフに興じ、余暇を楽しみます。
またしてもスマートすぎるトーマス・クラウンの仕事っぷり。自らは必要最低限の仕事だけで大仕事をさらりとやってのけるトーマスがカッコ良すぎ!少ない台詞もまた、トーマスのカッコ良さを増幅させます。スティーヴ・マックイーンのタフでクールな青年実業家ぷりにもうメロメロです。
ヴィッキー登場
一方警察では、犯人の手がかりが掴めずマローン警部(ポール・バーク)はお手上げ。保険会社の調査員ヴィッキー(フェイ・ダナウェイ)も捜査に加わることになります。すると、独自の推理でトーマスをあっさりと洗い出し、自らトーマスに近づき、トーマス本人に犯人であるかどうか問いかけます。そんなヴィッキーをトーマスは食事に誘い、やがて恋に落ちるのですが、トーマスを犯人として捕まえたい気持ちと恋心の狭間で揺れ動くヴィッキー。彼らが最後に出した答えとは…。
登場シーンから最高にクールなフェイ・ダナウェイ演じるヴィッキー。白を基調としたファッションと、素敵な帽子や洒落たヘアースタイルに釘付けです。しかしなんて鋭い女なんでしょう。さてできる女も恋すりゃただの女になってしまうのか?その辺りを是非ご堪能下さい。
ひとりごと
久しぶりにこの映画を観て気付いたんですが、私は無駄や迷いのない簡潔な人が大好きなんです。この物語の主人公、トーマス・クラウンはまさにその代表みたいな人なんですよね。それから正直な人も好きなんですけど、ヴィッキーもトーマスも自分に対しても他人に対してもすごく正直なんですよね。敵対する立場にあるふたりが、お互いが正直に経過報告しながら大人の駆け引きを繰り広げ、それでも一緒にいる姿は見ていて心から憧れます。こんな素敵なパートナーに出会えたらどんなに素晴らしいでしょう。そしてそんなふたりに迷いが生じた時、どちらかが負ける。ラストまでお洒落でクールな最高傑作です。
実はこの映画は長らく私のいちばん好きな映画だったんですが、ある時「ティファニーで朝食を」(1961)を観なおして以来2位になっていたんです。でも今回観て考え直しました。やはりこの映画こそ心のベストテン第一位!そんな訳で私のいちばん好きな映画は、「華麗なる賭け」で決まりです。
それではまた。
おやすみなさい。