若草の萌えるころ

 

こんばんは。

今夜は「若草の萌えるころ」(1968年 フランス)を観たいと思います。

この映画は、アラン・ドロンの出演でお馴染みの「冒険者たち」(1967)のロベール・アンリコ監督の作品で、同じく「冒険者たち」でレティシアを演じ、人気を博したジョアンナ・シムカスの主演作品となっております。ジョアンナシムカスは、他にもロベール・アンリコ作品の「HO!」(1968)にも出演しております。

私はジョアンナ・シムカスを、「パリところどころ」(1965)というオムニバス映画の第五話、ジャン=リュック・ゴダール監督による「モンパルナスとルヴァロタ」で初めて知ったんですが、華奢な身体つきと美しい顔が非常に魅力的で、ひと目見て大ファンになってしまいました。

以前書いた「ポリー・マグーお前は誰だ?」にも少しだけ出演していますので、よろしければそちらもご覧下さい。

それでは作品情報です。

 

 

作品情報

アニーの大好きな伯母が突然病に倒れた。愛する者が死にゆく現実と自分の無力感に耐えられず、彼女は夜の街へと彷徨い出る。猫を狩るスペイン人、スロットカー・レース、羊との追いかけっこ、コントラバス弾きの青年…。
驚きと刺激にあふれた一夜の出来事を通じ、アニーは自分なりに大切な人の死を受け止めてゆく。

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出演■ジョアンナ・シムカス

カティーナ・パキシヌー
ベルナール・フレッソン
シュザンヌ・フロン
ホセ・マリア・フロタス

監督■ロベール・アンリコ
原作・脚本■リュシエンヌ・アモン
脚色■リュシエンヌ・アモン、ピエール・ペレグリ、ロベール・アンリコ
音楽:■フランソワ・ド・ルーベ

1968年1月12日公開 フランス映画

 

 

感想・レビュー

そうそうこんな話でしたねぇ。随分と久しぶりに観ましたが、何だか若き日の自分自身を見ているようで、恥ずかしいような懐かしいような複雑な気持ちになりました。基本的にオールからの朝帰りって、何かしら起こる確率が非常に高いと思いますが、まさにその典型ですね。何かどころか、かなり多くの出来事が起こってますけれど。おっと話が違う方向へ行ってましたね、すみません。

大好きな人が死ぬかもしれないという時、逃げ出したくなる気持ちはわかりますし、この映画のように現実逃避するのがある意味いちばんの解決策かもしれません。抱えきれない問題が生じてしまい、それについて考えたくない時、とにかく忙しくするのが正解と私も思います。あれ、また違う方向へ行ってますね。とにかく良かったです!

伯母さん倒れる

アニー(ジョアンナ・シムカス)は、大好きな伯母ジータ(カティーナ・パキシヌー)が突然倒れ、生死を彷徨っているような状態になってしまい、非常に動揺します。夜中も母と交代で看病するのですが、死にそうな伯母さんを見ているのがつらくて、疲れてイライラしてしまいます。そんな時、出先から急いで家に帰ろうとしたアニーは、看護婦に頼まれていた煙草を買い忘れた事に気づき買いに戻るのですが、そのままふらっと夜の街へと出かけて行ってしまうんです。大好きな伯母さんが死にそうな時にいいの?と思ってしまいますが、逆に言えばそれほどまでにショックが大きく、家に帰る事ができなかったわけです。

意外なストーリー展開

そして、夜の街で様々な出来事が次々とアニーを待ち受けているのですが、初めて観た時はこのストーリー展開にすごく驚いたのを覚えています。ちょっと気晴らしして戻るのかと思いきや、結局最後の最後まで家には帰らないんですね。途中で何度も帰ろうとするのですがどうしても帰る事ができず、荒れて人に八つ当たりしたり、飲んで踊って大騒ぎしたりしながら、少しの間だけでも伯母さんの今の状況を忘れたくて、成り行き任せの一夜を過ごすことになります。実際、夜の街でいつまでも遊んでいる人たちの半分くらいは、何かしらの事情で帰りたくない人たちなんじゃないかとも思いますけどね。

夜の街で

一歩表に出た瞬間から男に後をつけられ、事あるごとにしょちゅう男たちにつけ狙われるのですが、それをかわすアニーがクールで良いんですよね。楽器を持った男シモン(ホセ・マリア・フロタス)に興味を持ち、あとをつけて入った店で、彼がカー・レースに夢中になる姿に惹かれるのですが、シラっと別の場所へ移動してしまいますし、そこで席に着いた途端にボニ(ベルナール・フレッソン)にナンパされるのですが、そこにいた大学の友だちと口論になり店を飛び出してしまいます。猫を殺すスペイン人と一緒に警察に捕まったり、偶然再会したボニの羊が脱走して追いかけたりと、やけっぱちのアニーに様々な出来事が起こるのですが、最後には素直になってシモンと向き合うわけです。

シモンとアニー

シモンがコントラバスを弾きながらトラックの前に立ちはだかるシーンがあるのですが、このシーンがやはりいちばん好きですね。そのあとさらに楽器を弾き続けながら、アニーを口説くところも素敵です。現代社会において、こんな事してくれる男はまずいないですけどね。そして、この後が問題なんですよね。ロベール・アンリコの「追憶」(1975)にもこんなシーンあったと思うのですが、美しき思い出が蘇る時のメロドラマ的スローシーンです。これが良いとも言えるんですが、私はここがもう少しシンプルでも良かったのかなぁと思ったんです。最後のシモンの部屋のシーンは素敵なんですけどね。

戦争の爪あと

この映画は、アニーの伯母ジータの人生を振り返ると同時に、戦争の爪あとについても触れています。ジータがサイレンの音にめまいがして倒れてしまったり、アニーが一緒に警察に捕まったスペイン人に戦争についての話をしたり、ところどころに戦争で死んでしまったジータの弟、つまりアニーの父の話が盛り込まれています。ラストの回想シーンでジータが「弟は自ら望んでスペインへ戻った」と言う台詞があるのですが、大切な弟は戦争に巻き込まれたのではなく、勇敢に立ち向かったのだと自分自身に言い聞かせているのかもしれませんね。

 

 

ひとりごと

伯母さんが倒れてというきっかけはさておき、この映画はジョアンナ・シムカス演じるアニーのリアルな夜遊びシーンも大きな見どころだと思います。女の子であっても一度や二度、オール&朝帰りを経験した事があるのではないかと思いますが、内容は違っても、この疲れによるやけくそ感と男たちによる罠の数々には、何となく近い経験をされた事のあるのではないかと思います。実際私も、こんな長い夜を経験した事があったように思います。これもまた、青春の一幕と言えばそうなんですが、楽しい反面危険もいっぱいですので、女の子たちにはくれぐれも気をつけていただきたいと思います。わが身は自分できっちり守りましょう。そんな訳で、フェデリコ・フェリーニの「甘い生活」とマウロ・ボロニーニの「狂った夜」とこの映画で、オールナイト夜遊びシネマ三部作決定です。

それではまた。

おやすみなさい。

 

 

 

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