タンポポ

 

 

こんばんは。

今夜は「タンポポ」(1985)を観たいと思います。

この映画は、伊丹十三監督の第二作目の作品ですが、第一作の「お葬式」(1984)の公開からたったの一年で公開されている作品ということで、もしかすると二作をほぼ同時に撮影していたのかもしれないですね。

私は、子どもの頃にテレビで観たのが初めてだったと思いますが、大人になって観直してみたところ、いくつかのシーンははっきりと記憶に残っていました。しかし、まさかこの映画のワンシーンだったとは!というシーンが多くありました。というのも、この「タンポポ」は、メインストーリーと無関係のサイドストーリーが13も展開されるという、非常に変わったつくりになっていおりまして、子どもの頃にはわからなかったしかけがわかるようになってから観ると、また違った映画のようで、おもしろいなぁと思いました。

前回観てから随分と久しぶりですので、今回もまた新しい発見があるかも知れないですね。

楽しみです。

ただいまDVDは廃盤のようですが、ブルーレイで発売されているみたいです。レンタルもできます。

では作品情報をどうぞ。

 

 

作品情報

タンクローリーの運転手ゴローとガンが、さびれたラーメン屋を経営している美しい未亡人タンポポに惹かれるまま、そのラーメン屋を町一番の店にするまでを、他に13の食べ物にまつわるエピソードを織り交ぜて描く。

監督・脚本■伊丹十三

出演■宮本信子

山崎努

渡辺謙

役所広司

1985年11月23日公開

 

 

感想・レビュー

やはりすばらしいです。映画としての完成度が非常に高い作品だと改めて思いました。

伊丹十三監督の食への強いこだわりが、余すところなく盛り込まれておりましたが、欲を言えばもう少しだけ調理シーンがあってもいいのかなぁと。いかがでしょうか。

ラーメン・ウエスタン

タンクローリーの運転手ゴローとガンは、ラーメンの本を読んでいて食べたくなり、タンポポの店に立ち寄って一悶着あるのですが、ゴローさんのファッションとこのシーンはまさにラーメン・ウエスタンです。なぜウエスタンを取り入れたのかは不明ですが、ゴローさん役の山崎努のカウボーイ姿はとにかくカッコイイのです。

タンポポのラーメン研究

おいしいラーメン作りに目覚めたタンポポが、必死でラーメンを研究していくのですが、まずゴローさんと他のラーメン店を廻って良い店の条件を教わり、それからスープを研究してみたもののうまくできず、先生に来てもらって皆で研究し、その後今度は麵を研究していきます。おいしいラーメンを作る事がこの映画のメインストーリーの目標ですので、このラーメンの研究にほとんどの時間を使っている訳なんですが、このラーメン研究のシーンがどれもすごくいいです。これを観ていると本当にラーメン屋を開いてみたくなっちゃいます。

白服の男のシーン

冒頭のシーンはこの白服の男の話しから始まります。それからラーメンの話の合間に全部で5回、このサブストーリーが挟まれますが、最初と最後以外は全て食欲と性欲を重ね合わせて描いています。生卵の口移しや生きた海老をボウルに入れて身体に押し付けるシーンなどは有名なシーンですね。観ていてドキドキしてしまいます。しかし、白服の男役のメイクをした役所広司さんがセクシーで本当に素敵です。その情婦役の黒田福美さんも非常に美しいです。

その他のサブストーリー

ある意味、これがこの映画の大きな見所でもあります。

まず私がいちばん印象に残っていたのが、死ぬ前にチャーハンを作るおっかぁの話し。それからスーパーで桃を潰す老女。あとはフランス料理店での平社員の話もすごくおもしろいです。ボーイの橋爪功さんがこれまたかっこいいんです。他にも様々なサブストーリーが挟み込まれていますが、どれもちょっと洒落たおもしろい話しになっていますので、そちらも楽しんでいただけたらと思います。

好きなシーン

迷いますけど、ホームレスの方々のグルメな会話のシーンが好きです。あとはやっぱり、ゴローさんが帽子を被ったままお風呂に入っているシーンですかね。

 

 

ひとりごと

そもそも伊丹十三はとても才能豊かで、尚且つセンスの塊みたいな方だと思うのですが、この「タンポポ」にもその才能やセンスは多く見て取れると思います。ただ、正直に言いますと、私は伊丹十三の映画よりも、エッセイ本であったり、俳優としての伊丹十三の方が好きなんです。この方の映画は非常にテンポがよく、エンターテイメント性も高いのですが、私は個人的にそういう部類の映画は得意でないので、ちょっとやりすぎと感じてしまう部分があるんですよね。でもこの「タンポポ」は伊丹作品の中ではいちばん好きです。だってラーメンを映画にしちゃうんですから、すごいと思いませんか?

できればもっと長生きしていただいて、エンターテイメント系ではないタイプの伊丹十三作品も観てみたかったです。

さて、この映画で忘れてならないのが、雨のシーンです。

ゴローさんとタンポポの出会いも雨。二人の初めてのデート?シーンも雨。そしてサブストーリーのラストシーンもやはり雨です。このシーンの最後のセリフ、すごいですよね。

雨のシーンと食事シーンのある映画っていうのは名作が多い気がしているのですが…私の勝手な思い込みかもしれません。

それではまた。

おやすみなさい。

 

 

 

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