「巴里の屋根の下」(1930) 《今日のおすすめ配信シネマ Vol.1》
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巴里の屋根の下 (Sous les toits de Paris 1930🇫🇷)
ルネ・クレール監督による初のトーキー映画。
詩的リアリズムの作品としても知られる映画ですが、まず目を引くのが、ヒロイン役ポーラが着こなすフラッパースタイルのファッションです。
短めのボブにストレートなシルエットの服。ネックレスやブレスレットはジャラジャラと。部屋には着替えのドレスが一枚だけで、いつでも一張羅を着ているのも良いですね。しかもその2枚のドレスがとびきり素敵で、彼女によく似合うんです。今どきたくさんのお洋服をとっかえひっかえ着まわしている方が多いと思いますが、服なんてほんとは2コーデくらいあれば十分なんですよね。似合うドレスが2枚だけ。たしか、アキ・カウリスマキ監督の『ル・アーヴルの靴磨き』(2011)という映画にもそんなシーンがあったような気がしますが、そんなミニマムな暮らしが逆に新鮮で憧れてしまいます。
ドレスを脱ぐと猫ちゃん(⁉︎)か何かのポイントが入ったスリップを着ているのも、丁寧な感じがして良いです。
初のトーキーのせいかセリフはやや少なめですが、これがまたいいアジを出します。
初めて男の子の部屋へ行くときの戸惑いを、階段を登る足もとで表現したシーンや、ベッドを奪い合った挙句二人とも両脇の床で眠るシーンあたり良かったですねぇ。
街並みやカフェーも雰囲気があり、昔のパリってこんな風なのねと思いながら観たわけですが、実はパリでのロケではなく、セットを組んで撮った映画なんだそうです。何だか絵本の世界のような、思い描いた通りのパリという感じで、このあたりもかわいらしくって好きでした。
そして、忘れてならないのが、最初から最後まで流れ続けるラウール・モレッティによる主題歌『巴里の屋根の下』これがまた名曲です。
トーキーになって、たくさんのセリフを入れるのでなく、主演のアルベール・プレジャンのたのしげな歌声を流し続けるというクレール監督のセンスに敬服です。
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作品情報
監督 ルネ・クレール
脚本 ルネ・クレール
出演 アルベール・プレジャン
ポーラ・イレリ
エドモン・T・グレヴィル 他
音楽 ラウール・モレッティ
撮影 ジョルジュ・ペリナール
ジョルジュ・ラウレ
96分 モノクローム
ルネ・クレールのトーキーの最初の作品『巴里の屋根の下』と、最後の作品『リラの門』、この2作は悪い女の子の作品.
悪い女の子なのだけど、ルネ・クレールは全くそのことを責める事はなく、悪い女の子に絡めて大切なものを描きあげている.
女の子は喧嘩をして奪い合うものではなく、誰のものかサイコロで決めるものでもない.友人同士で女の子を取り合って喧嘩をしたか?.しなかった.....どの様にして喧嘩に勝つか考えるのではなく、どの様にして喧嘩をせず仲良くするか、それを考えなくては.
ルネ・クレールの作品は、毎回女の子が違う.そして彼は人の死が意味を持つ映画を、最後に1本以外は撮りませんでした.なぜなのか、その理由を最後の作品『リラの門』で描いています.
namenonaikoさま
コメントいただきありがとうございます^_^
私も『リラの門』も観ましたが、
確かに女の子の取り合いを通じて真の友情について描いていくというスタイルは共通していますね。
『リラの門』のラストは意外でしたが、映画全体としてはあたたかみのあるすばらしい作品で大好きです。