若尾文子の映画「『女の小箱』より 夫が見た」(1964)と岸田今日子の1964年

 

今夜は若尾文子さんの主演映画「『女の小箱』より夫が見た」(1964)と出演者の岸田今日子さんについて書きたいと思います。

 

直木賞作家、黒岩重吾の「女の小箱」を原作に、若尾さんの主演映画を多く手がける増村保造が監督した本作ですが、注目すべき点は岸田今日子さんの出演なんですよね。

というのも、岸田今日子と若尾文子のW主演作品「卍」と、今回ご紹介する「『女の小箱』より夫が見た」はどちらも1964年に公開されており監督も同じ増村保造なんです。

となると、「卍」(谷崎潤一郎原作)が高評価されている作品なだけに、この作品がどうなのか気になりますよね。ちなみに岸田今日子主演で同じく1964年に公開されている作品がもうひとつ。それがあの「砂の女」(安部公房原作)なんです。これ原作を並べてみてもすごいラインナップですよね。そんな訳で早速岸田今日子と若尾文子の出演映画「『女の小箱』より夫が見た」をご紹介いたします。

 

 

「女の小箱」より 夫が見た(1964)

Story

まともな会社の経営者になるという長年の夢のため、バーのマダムでパートナーの洋子(岸田今日子)を使い、客から金を引き出しては敷島化工の株を買い漁っているナイトクラブの経営者石塚(田宮二郎)。その石塚を阻止すべく敷島化工の株式課長川代(川崎敬三)は、石塚の店の秘書エミ(江波杏子)と不倫関係になり情報を聞き出そうとしていた。そんな川代を毎晩待つことにくたびれた妻の那美子(若尾文子)は、ある晩友人と石塚の経営するナイトクラブへ遊びに行く。那美子をひと目で気に入った石塚は、那美子が川代の妻だと知りながら近づく。ある時エミと川代の関係に気づいた石塚は、那美子にそのことを知らせ、那美子を川代から奪い取ろうとする。強引だが素直で純粋な石塚に惹かれ始める那美子。ところがその晩エミが何者かに殺され、川代と石塚のふたりに容疑がかかってしまう。やがてエミ殺しの真犯人は捕まったものの、追い詰められた川代は自社株さえ取り返せば復職できると考え、那美子に身体を売ってでも石塚に株を売るよう頼んで欲しいと懇願する。石塚の真意を確かめるため引き受けた那美子は、長年の夢を捨て株を売って自分と一緒になるか、諦めるかの選択を石塚に迫る。果たして石塚の出した答えとは。

 

 

見どころピックアップ

岸田今日子と若尾文子

  • トップシーンからいきなり若尾さんのセミヌードが長々と映し出される入浴シーンなんですが、この若尾さんの美しいこと!入浴シーンは「お嬢さん」などにもありますが、この映画ではかなり大胆に露出されています。
  • 若尾さんの着物姿もまた凄まじい美しさ。特にお顔が綺麗です。色っぽい話し方も良い。
  • 端々に散りばめられたあまりに熱っぽいセリフの数々。「今日からは奥さんだけがぼくの目的です」なんて田宮二郎に言われたら失神しますよ、たぶん。
  • その田宮二郎さんがこれまたものすごくカッコいいんですよね。悪いヤツだけどスマートで純粋な実業家石塚がはまりすぎなくらいはまってます。田宮さんの肉体もまた美しくて意識の高さが伝わってきます。
  • 岸田今日子さんの登場により一気にドラマティックになるんですよね。存在感がすごいです。どんな役でも華麗にこなす岸田さんですが、この作品での強そうで脆い水商売の女役もビシッとはまってます。
  • 江波杏子さんの安定の悪女感にも脱帽です。すごい個性ですよね。
  • 川崎敬三さんの下衆っぷりもまた安定感抜群です。でも「青空娘」なんかの爽やかな川崎さんの方がやっぱりステキかな。
  • 若尾さんと田宮さんの何とも美しいベッドシーンがやはりいちばんの胸アツポイントですよね。やっと結ばれた感がね。ステキです。

 

 

ひとりごと

安いメロドラマ的ストーリーではありますが、これは決して「不倫」や「略奪愛」の物語ではありません。若尾さん演じる那美子の「愛」への強い思いから生まれた、あまりに遅すぎる「初恋」の美しい物語なのです。

控えめで言葉少なながらも秘めたる愛の情熱を燃やし、夫や兄がしつこく押し付ける「良妻」像を蹴散らして真実の愛だけを求めて生きる芯の通ったひとりの女。そしてその女の求める「真実の愛」を与えられるただひとりの男。一度でいいからこんな恋がしてみたいと、思わずため息が漏れてしまいました。

そしてラストシーンは岸田今日子さんあってこその迫力のクライマックスが待ち受けています。結局、女が男に求めるものはただひとつ。そういうことです。

それではまた。

おやすみなさい。

 

 

作品情報

女の小箱より「夫が見た」 [ 若尾文子 ]
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出演■若尾文子(川代那美子)

田宮二郎(石塚健一郎)

川崎敬三(川代誠造)

岸田今日子(西条洋子)

江波杏子(青山エミ)

町田博子(津村光枝)

原作■黒岩重吾「女の小箱」

監督■増村保造

脚色■高岩肇、野上龍雄

1964年2月25日公開 93分

 

 

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