ヌーヴェル・ヴァーグ 観た映画、観なかった映画、好きな映画
今年に入り思い立って、ここ半年ほどヌーヴェル・ヴァーグの映画ばかりを観続けてきました。
観たことのない作品はもちろん、以前観た作品もせっかくなのでこの機会に観なおしました。
新たな発見と懐かしさにふるえながら、ヌーヴェル・ヴァーグの映画のことだけを考え続けたこの半年。未ソフト化やDVDの高額化で観られない作品もありましたが、とても楽しく充実した映画鑑賞ができた気がします。
結果としては以前ピックアップした50本にロジェ・ヴァディムの「危険な関係」を加えた51本のうち、40作品を観ることができました。78.4%。そこそこの成績だと思います。
そこで今回は観た映画・観なかった映画をまとめ、ついでに今回観た作品の中から、個人的に好きな作品を各監督につき一作品ずつピックアップしてみました。(ピックアップ作品の下にあるグレーの枠内が観てない作品です)
ジャン=リュック・ゴダール
男の子の名前はみんなパトリックっていうの(1959) 短編21分
シャルロットとジュール(1961) 短編13分
水の話(1961) 短編12分
勝手にしやがれ (1960)
女は女である (1961)
女と男のいる舗道 (1962)
小さな兵隊 (1963)
軽蔑 (1963)
はなればなれに (1964)
Pick Up「女は女である」
突然子どもが欲しくなっちゃった気まぐれな女とその恋人。そして彼女に思いを寄せるもうひとりの男の三人で織り成す恋愛ミュージカル・コメディ。映画としての仕上がりはさておき、とにかくチャーミングな作品。
カラビニエ(1963)
フランソワ・トリュフォー
あこがれ (1957) 短編23分
大人は判ってくれない (1959)
ピアニストを撃て (1960)
アントワーヌとコレット (1962) 短編24分
突然炎のごとく (1962)
柔らかい肌 (1964)
Pick Up
「柔らかい肌」
サスペンス・タッチの不倫劇。
何と言っても主演のフランソワーズ・ドルレアックの美しさに尽きる。それだけで十分です。
クロード・シャブロル
美しきセルジュ (1958)
いとこ同志 (1959)
二重の鍵 (1959)
Pick Up「いとこ同志」
純朴なシャルルと世渡り上手なポール。いとこ同志、真逆のふたりが描き出す人生の縮図。アンリ・ドカエのカメラと行き当たりばったりなストーリーが非常にヌーヴェル・ヴァーグ的です。
気のいい女たち(1960)
※こちらは7月にDVD &ブルーレイ化されリリースされますので、発売したら観たいと思います。
ジャック・ロジエ
アデュー・フィリピーヌ (1962)

双子のように仲の良いふたりの女の子と、兵役を控えた青年によるひと夏の青春物語。瑞々しさに溢れた非常にさわやかな作品。若くてきれいで仲の良い女の子たちってどうしてこんなにも魅力的なんでしょう。いつまでも眺めていたくなるような素敵な映画です。
新学年 (1955)短編24分
ブルー・ジーンズ (1958)短編22分
ジャック・リヴェット
大手飛車取り (1956) 短編28分
パリはわれらのもの (1961)
Pick Up「大手飛車取り」
物語は有名な小話に基づく。浮気相手から贈られた毛皮のコートを、夫に疑われず家に持ち帰るため考えた苦肉の策が裏目となり、意外な真実とともにコートも失う。テンポが良く小粋な仕上がり。好きなタイプの映画。
エリック・ロメール
獅子座 (1962)
モンソーのパン屋の女の子 (1963) 短編26分
シュザンヌの生き方 (1963)
Pick Up「シュザンヌの生き方」
ロメールの連作“六つの教訓話”の第二話。遊び人の友人ギヨームとその恋人シュザンヌに振り回される青年ベルトラン。ある日彼の部屋にあったお金が無くなり、シュザンヌを疑うベルトランだったが…。冷めた目線で二人の恋を傍観する主人公には少々イラついてしまいますが、若さってこうだよなぁと懐かしくなるお話です。
ヴェロニクと怠惰な生徒 (1957製作公開不明)短編20分
ジャック=ドオニル・ヴァルクローズ
唇によだれ (1960)

シャトーを舞台にした三組の男女の恋愛物語。個性的な魅力のベルナデット・ラフォンとセルジュ・ゲンズブールによる同名主題歌(L’Eau a la Bouche)が良いアクセントになり洒落た仕上がりになっていました。
過労の人々 (1958製作公開不明) 短編22分
アラン・レネ
二十四時間の情事/ヒロシマ・モナムール (1959)
去年マリエンバートで(1961)
ミュリエル (1963)

戦争によって引き裂かれた初恋の傷を持つ女が、終戦の地ヒロシマで男と出会い、再び苦い恋の記憶が蘇る。誌的なセリフと記憶の断片的映像、戦争モンタージュが美しく散りばめられた文学的な作品。
ジャック・ドゥミ

勝って負けてまた勝って…。ギャンブルに浮かされた男女の愛と情熱の物語。今回初めて観たのですが良かったですねぇ。ジャンヌ・モローも数々の出演作の中で本作がズバ抜けていいと思います。
アニエス・ヴァルダ
Pick Up「5時から7時までのクレオ」
自分が重い病を患っているかもしれないと悩むクレオが、誰にも本心を打ち解けられず鬱々とパリをさまよう。カメラアングルと映像美が冴えたクールな作品。ミシェル・ルグランの出演も見どころです。
ラ・ポワント・クールト (1956)
オペラ・ムフ (1958) 短編16分
ルイ・マル
死刑台のエレベーター (1958)
恋人たち (1958)
地下鉄のザジ (1960)
鬼火 (1963)
Pick Up「死刑台のエレベーター」
不倫の末に女の夫を殺した男が、その後エレヴェーターに閉じ込められてしまう。男を探し夜のパリをさまよう女。決定的にすれ違ってしまったふたりとは別に、物語は意外な方向へ向かう。歴史的名作のひとつに数えられるルイ・マル25歳のデビュー作。マイルス・デイヴィスによる音楽もすばらしいです。
ジャン=ピエール・メルヴィル
マンハッタンの二人の男 (1959)
いぬ (1963)
Pick Up「マンハッタンの二人の男」
ある男を捜すため、二人の男が一晩中マンハッタンをただただかけまわるだけのお話。だけどこれがやたらとカッコE。メルヴィル氏本人のクールな演技と、全編に流れるモダン・ジャズがイカしたお洒落映画です。
短編集
パリところどころ (1965)
Pick Up「パリところどころ」
パリを舞台にした6人の監督による短編集。ジョアンナ・シムカス主演のゴダール編に、ロメール、シャブロルなどヌーヴェル・ヴァーグの監督が勢揃い。名作揃いで選ぶのが難しいですが、ジャン・ドゥーシェ監督の第三話の「サンジェルマン・デ・プレ」が好き。
ロジェ・ヴァディム
危険な関係 (1959)
Pick Up「危険な関係」
お互いの不倫を認め合い、報告しあうクレイジーな夫婦のお話。ジェラール・フィリップ×ジャンヌ・モローの美しい夫婦だけでも十分な見どころですが、セロニアス・モンクやアート・ブレイキー&ジャズメッセンジャーズなどモダン・ジャズの流れる映画としても名高い作品。演奏シーンもあります。
ジャン・ルーシュ
ジャン・ルーシュ作品は「パリところどころ」の第二話“北駅”以外一本も観られず。残念ですがいつかチャンスがあれば。
僕は黒人 (1960)
人間ピラミッド (1961)
ある夏の記録 (1961)(ジャン・ルーシュ/エドガール・モラン合作)
以上、ヌーヴェル・ヴァーグ観た映画、観なかった映画まとめでした。