なまいきシャルロット
こんばんは。
今夜の映画は「なまいきシャルロット」(1985年フランス)です。
この映画は、「暗くなるまでこの恋を」(1969)など多くのフワンソワ・トリュフォー監督作品や、ジャン=リュック・ゴダール監督の「ウィークエンド」(1967)、ジャック・ドゥミ監督の「ロシュフォールの恋人たち」(1967)などで助監督を務めたクロード・ミレールの監督作品です。
主演は当時14歳のシャルロット・ゲンズブール。ご存知、セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの間に生まれたひとり娘です。
シャルロットにとって初主演作となった本作ですが、いきなり親譲りの凄まじい存在感を見せつけ、劇場公開時フランスでシャルロット旋風を巻き起こしたそうです。また、シャルロットはこの作品で、フランスのアカデミー賞とも呼ばれるセザール賞の新人女優賞を受賞しております。
私は偶然にも、シャルロットと同じ14歳の時にこの「なまいきシャルロット」を初めて観たのですが、彼女がさらりと着こなすボーダーTとジーンズと白スニーカーに死ぬほど憧れたのをよく覚えています。観終わってすぐに同じような洋服を買い求めた事は言うまでもありません。そして今もなお、このシャルロットのファッションには憧れ続けております。
残念ながらDVDは現在廃盤ですが、レンタルショップで借りる事は可能です。
それでは作品情報をどうぞ。
作品情報
7月のパリ。夏のバカンスにわくリセエンヌたちにまじって、13歳のシャルロットはなんとなく憂鬱だった。何故だか自分でもよく分からないが、無骨で頑固な父や口の悪い兄、メイドで亡くなった母代わりのレオーヌに、ついあたってしまう。そんなある日、教室に行こうとしたシャルロットの耳に、音楽室から美しいピアノのメロディが聞こえてきた。おもわず覗き込んだ彼女はそこで、同じ13歳の天才少女ピアニストのクララの姿を目にする…。
aiicinema ONLINEより
出演■シャルロット・ゲンズブール
クロチルド・ボードン
ジュリー・グレン
ベルナデット・ラフォン
ジャン=クロード・ブリアン
監督■クロード・ミレール
1985年12月11日公開(フランス)
感想・レビュー
★★★★☆ 4
すごく良かったです。見ているだけで胸が締め付けられるほど、思春期ならではの苦悩が伝わってきました。些細な事でいちいち怒ったり傷ついたり。わがままで気まぐれで、何もかも憂鬱だったり、何もかもうまくいくような気がしたり。ここじゃないどこかで何かになることを夢見る女の子シャルロット。でも何かって一体何?
憂鬱な日常
水泳の授業で飛び込みがうまくできなかったシャルロット(シャルロット・ゲンズブール)。憂鬱な気持ちで次の授業に向かう途中、聴こえてきたピアノの音色に吸い寄せられて他の教室を覗き込むと、自分と同年代のクララ・ボーマンという天才少女ピアニストのビデオが流れていた。ひと目でクララに惹かれたシャルロットだったが、自分の日常は狭くて汚い家に、無骨な父と兄の3人暮らし。お手伝いに来てくれるレオーヌ(ベルナデット・ラフォン)は、亡き母の代わりに親身になって世話を焼いてくれるものの、ついイライラして当たってしまいます。
本当に些細な事がきっかけで、全てがおもしろくなくなり、まわりの人に当り散らす。そんな経験誰しもあるのではないでしょうかね。シャルロットはまさにそんなお年頃なんですね。
ルルとシャルロット
そんなシャルロットの唯一の友だちが、近所に住む病弱な女の子ルル(ジュリー・グレン)なんですが、このふたりの会話がとにかくいいんですよね。ルルはまだ小学生にもならないくらいの小さい子で、母親が夜勤の日にシャルロットの家に泊まりにきては、ふたりでおしゃべりしたり、どこへ行くにもシャルロットについてくる妹のような存在なんですね。シャルロットが、「私。ブスだし。」と拗ねると、「違うわ。きれいだしいい匂い。」と言ってくれたり、ルルはシャルロットの事が大好きなんですが、そんなルルに対しても、不安定なシャルロットは酷い事を言ってしまったりするんですね。
クララとの出会い
そんなある日、シャルロットは偶然にも、コンサートのために街に滞在していたクララと出会い、挨拶を交わします。クララともっと仲良くなりたいシャルロットは、クララの家に椅子を配達する施盤工の男ジャン(ジャン=フィリップ・エコフェ)に近づき、配達へついて行きます。そこでクララにパーティへ招待され、初めて見る別世界に酔いしれます。クララが軽い気持ちで付き人にならないかと言った事を真に受けたシャルロットは、クララのコンサートツアーに同行する決意を固めます。その後なかなかクララと連絡が取れないまま、コンサートの日を迎え、シャルロットはレオーヌとルルとコンサート会場へ向かいます。
自分とは違う、見たこともないほど華やかな世界に住む同年代のきれいな女の子を前に、思わずひれ伏すシャルロットの気持ち、痛いほどわかります。クララとの事を大人たちに報告するシャルロットの浮かれっぷりと、それを心配して反対する大人の気持ちが両方分かるだけに何だか切なくなりますね。
ジャンとのデート
最初はクララに会いたいがためにジャンに近づいたシャルロットでしたが、ジャンからのアプローチにより少しづつ彼を意識するようになります。父や兄やレオーヌとは違い、シャルロットの話を聞き、大人扱いしてくれるジャンに好奇心はあるのですが、どこか消極的なシャルロット。そんな時、ジャンから街を離れる事を告げられ、デートをするのですが…。
アプローチされるとついいい顔をしてしまうのは誰にでもあると思いますが、それが初めてとなるとやはりうれしいですし、相手に対しての興味も湧きますよね。それが自分より大人であればなおさら、です。でもお願いですから変な男に引っかからないで下さいね。
ひとりごと
この映画を初めて観た時の衝撃は忘れられないですね。まずシャルロット。ゲンズブールのかわいいこと!それから、ナチュラルで洗練されたシャルロットのファッション。そして、シャルロットの苦悩が、あまりにも自分と同じで唖然としたと同時に、やはり皆同じなんだと少し安心したのをよく覚えています。あまりに良かったので立て続けに何度か観たと思います。個人的には10本の指に入るほど大好きな映画なんですよね。
ただ、大人になってから観ると、正直そこまで入り込めない部分はありましたね。懐かしさはありますけどね。そういった意味では、この映画はなるべく早い時期に観て欲しい映画ですね。小中学校の授業で使って欲しいくらいです。
近ごろでは反抗期のない子どもが増えているらしいですが、この「なまいきシャルロット」のシャルロットはものすごい反抗期で、親目線では正直嫌だなぁと思ってしまいました。ここではないどこかへ逃げ出したくて、何かを探しているシャルロットの気持ち、今でもすごくよくわかりますが、その「何か」を見つける事は簡単じゃありません。クララのように、13歳にしてすでに将来への道が決定している女の子が輝いて見えるのは当然ですよね。なるべく早くに夢や進路を決める方が迷いがなくていいのかもしれないですが、まぁでも、人生は短いようで長いので、途中で何が起こるかは誰にもわかりません。結局は思いのまま気楽にやるしかないです。
何だか話が逸れましたが今夜はこの辺で。
おやすみなさい。