私はジャン=ピエール・メルヴィルが好き -私のメルヴィル映画ランキング-

 

ジャン=ピエール・メルヴィルをご存知ですか?

1950年代から70年代に活躍したフランスの映画監督で、ジャン=リュック・ゴダールの『勝手にしやがれ』(1960)への出演でもお馴染みですが、このメルヴィル監督の撮った映画ときたら。どれをとってもクールでめちゃくちゃにカッコ良いんです。映画界にもファンが多く、先のゴダールをはじめ多くの監督に多大な影響を与えた人で、当然私もメルヴィル作品を観た瞬間、雷にでも打たれたくらいの衝撃を受け、すっかり心酔してしまいました。

この人の持つセンスの素晴らしさ!洗練された世界観を生み出す映画的思考力!マッタク生まれ変わったらメルヴィルになりたいくらいです。

実は今夢中になっているハリウッドのフィルム・ノワールに関しても、メルヴィルがそれらの映画から影響を受けたと聞きつけて観始めたのです。そんな大大大好きなメルヴィル監督の撮った映画を、今回は好きな順にランキング形式でご紹介してみたいと思います。

 

 

1.賭博師ボブ (Bob le flambeur 1956 仏)

メルヴィルによるフィルム・ノワール作品。モンマルトル界隈で夜明けまで賭けに興じるヤクザ者のボブが、仲間と人生最後の大仕事を企てる_。

これにはホントに参りました。本当にここまでクールでカッコイイ映画は他にありません。主人公ボブのキャラクターといいシニカルなラストといいまさに完璧。ベビーフェイスのスーパークールな女の子アンヌも最高です。才気溢れるメルヴィル監督と撮影を担当したアンリ・ドカエのセンスが炸裂した最高傑作。ダントツの一位です。

2.マンハッタンの二人の男 (Deux hommes dans Manhattan 1958 仏)

ある男を探すため二人の男(記者とカメラマン)が一晩中マンハッタンをただただかけまわるだけのお話。だけどコレがやたらとカッコ良い。二人の男即ちメルヴィル氏本人とピエール・グラッセの洒落た格好と、全編に流れるマーシャル・ソラールによるモダン・ジャズのせいでしょうか。私にとって初メルヴィル作品でしたが、あまりのカッコ良さにひっくり返りました。

※こちらは配信でも観られます

3.サムライ (Le Samouraï 1967仏/伊)

一匹狼の殺し屋がある仕事で顔を見られたことから命を狙われる_。

この映画は観たことある方も多いと思いますが、何ともエレガントな映画で観ていて惚れ惚れします。寡黙で冷静で仕事がはやい。そしてラストシーンの潔さもまさに“サムライ”です。

この作品辺りから、登場人物たちは非常に無口になり、ほぼ映像で見せるスタイルが確立されたのではないでしょうか。アラン・ドロンの当時の奥さまであるナタリー・ドロンとの唯一の共演作でもあります。

※こちらは配信でも観られます

 

 

4.仁義 (Le Cercle Rouge 1970 仏/伊)

出所したばかりの男と、移送中に脱走した男が偶然出会い、アル中の元警官を加え宝石強盗を企てるが…。

こちらも文句なくカッコ良い映画。各々追い詰められた状況での偶然の出会いから生まれる真の友情が、胸を熱くさせる傑作です。メルヴィルは話しの流れとして、ジョン・ヒューストンの『アスファルト・ジャングル』(1950)を下敷きにしているそうですが、「仁義」の方がより友情に重点を置いていて、それだけに刑事役のブールヴィル(この方コメディアンだそう)が憎たらしくてたまらないです。

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NHKエンタープライズ

5.リスボン特急 (Un flic 1972 仏/伊)

ジャン=ピエール・メルヴィルの遺作。

銀行強盗をした男たちと彼らを追い詰める刑事、そしてふたりの男に愛されたひとりの女の物語。

とことん無駄を削ぎ落とし、究極に洗練された大人の映画です。ピアノを鳴らすアラン・ドロンにカトリーヌ・ドヌーヴの投げキッス。そしてボルドーのナイトガウンが似合いすぎのリチャード・クレンナ。すべてがクールでブルーな映画。

6.海の沈黙 (Le Silence de la mer 1947 仏)

メルヴィルの長編デビュー作。ドイツ占領下のフランスで、家を宿舎として開放させられたフランス人と、そこに滞在したドイツ人将校の物語。

非常に美しい映画です。

心の美しさ。生活様式の美しさ。映像の美しさ。結末の美しさ。

フランス人作家ヴェルコールの同名小説を、光を有効的に使った映像で、もの静かで美しい映画へと作り上げたメルヴィル。これが当時30歳の彼の長編処女作とは…!素晴らしすぎて心から震えました。改めてその映画的思考力に敬服しました。

※こちらは配信でも観られます

 

 

7.いぬ (Le Doulos 1963 仏)

メルヴィルによるフィルム・ノワール。“いぬ”は密告者を意味する隠語。出所後の初仕事が警察に漏れ仲間を殺された主人公が、密告者を探し復讐を企てるが…。

なかなか複雑なストーリーですが、ポーカーフェイスのジャン=ポール・ベルモンドの飄々とした演技がサエてめちゃくちゃカッコ良いです。だたメルヴィルとベルモンドは『モラン神父』撮影時のベルモンドの態度を巡り確執があり、モーリス役のセルジュ・レジアニの出演を絶対条件に本作を撮ったんだそうです。

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NHKエンタープライズ

8.影の軍隊 (L’Armée des ombres 1969 仏/伊)

第二次大戦中ナチスドイツに占領されたフランスのレジスタンスを描いた作品。

『サムライ』以降本作も含めて後期のメルヴィル作品は、その美学が確立され、全てが“完璧”と言えるほどすばらしい映画ばかりですが、やはりどうも戦争モノは見終わって虚しさが残ります。仕上がりが良いだけに、逃れられない宿命が痛々しく観るのがつらくなります。ただジャン=ピエール・カッセルがすごくステキだったことは忘れられません。

9.モラン神父 (Léon Morin, prêtre 1961 仏/伊)

戦時下の不安の中、無神論者の女が興味本位で行った教会で自分と同じ年頃のモラン神父に出会い、次第に改心すると共に異性として惹かれてゆく。

これは究極の禁欲劇です。どれだけの時間語り合い打ち解けあっても、神父である男の心の扉は決して開かれず触れることはできないのです。この映画でもやはりジャン=ポール・ベルモンドの演技は光ってましたねぇ。エマニュエル・リヴァもすごく良かったです。それから主人公の職場が女性ばかりなのですが、男の世界を描き続けたメルヴィルが描く女の世界がなかなか興味深いです。

 

 

10.恐るべき子供たち (Les Enfants Terribles 1950 仏)

仲の良い姉と弟の二人だけの世界が、一人の少年の登場によって崩れてゆく__。

デビュー作『海の沈黙』を気に入ったジャン・コクトーからのご指名でメルヴィルが監督した作品で、コクトー自身がナレーションまで入れているそうです。全編に流れるヴィヴァルディと美しい映像が非常に印象的で、改めてメルヴィルによるモノクロ作品の良さに気づかされました。ただ、どうしてもちょっとコクトーの口出しが邪魔しているような気がしてしまいますが。

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アイ ヴィー シー

11.この手紙を読むときは (Quand tu liras cette lettre 1953 仏)

メルヴィルによるフィルム・ノワール作品。

両親を亡くした修道女が、残された妹のため家に戻る。ある事件から妹が婚約し、婚約相手が家業の文具店を手伝いはじめるが、その男が妹ではなく姉を愛してしまう__。

これもすごく良かったです。姉役のジュリエット・グレコの黒コート姿が何ともクールで最高に素敵ですし、ザ・ノワールなラストがたまらなく良いです。メルヴィル作品の中では、唯一本人が脚本を手がけていない作品だそうですが、集団ダンスシーンや列車シーンなどメルヴィルらしいシーンも結構ありました。ただ本人としては何かと納得のいかなかった作品のようです。

 

以上、ジャン≡ピエール・メルヴィル監督の映画をランキング形式でまとめてご紹介致しました。あと、ベルモンドが出演しているという『フェルショー家の長男』(1963)と、『ギャング』(1966)は未DVD化で観ていませんので、一刻も早いソフト化を望みます!

※「海の沈黙」「いぬ」「この手紙を読むときは」以外はレンタルできます。(GEO宅配レンタル調べ)

※「マンハッタンの二人の男」はDMM宅配レンタルに取り扱いありです。

 

 

 

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