ローラ
こんばんは。
今夜はジャック・ドゥミ監督、アヌーク・エーメ主演の「ローラ」(1961年フランス)を観たいと思います。
ジャック・ドゥミ監督と言えば「シェルブールの雨傘」(1964)ですが、こちらの「ローラ」が映画監督デビュー作となっております。
主演のアヌーク・エーメは、クロード・ルルーシュ監督の「男と女」(1966)で主人公アンヌを演じた事でご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、本当にエレガントで美しい女優さんですよね。大好きな女優さんのひとりです。
それでは作品情報をどうぞ。
作品情報
フランス西部の港町ナント。キャバレー<エル・ドラド>の踊り子として働くローラは、7年前に出会った男ミシェルの「必ず帰ってくる」と言った言葉を信じて待ち続けていた。そんななか、ミシェルの面影を宿すアメリカ人水兵の客フランキーと親しくなっていた彼女は、ある日、偶然にも幼なじみのローランと10年ぶりに再会する…。「ヌーヴェル・ヴァーグの真珠」と形容されるままに、やさしく愁いを帯びて輝き続けるジャック・ドゥミの処女長編。すれ違いながらも運命的な出会いと別れを繰り返す男女のまにまに綴られてゆく3つの恋の物語に、さまざまな映画の記憶と断片が散りばめられる。「僕は、世界を美しいものとして描こうとした」というドゥミの言葉そのままに、甘やかな幸福感に包まれてゆく、永遠の傑作。
監督・脚本■ジャック・ドゥミ
撮影■ラウール・クタール
音楽■ミシェル・ルグラン
出演■ジャック・アルダン
アヌーク・エーメ
マルク・ミシェル
コリンヌ・マルシャン
1961年 フランス映画
感想・レビュー
やはりいいですね。
ジャック・ドゥミ初監督作品という事ですが、港町、水兵さん、そしてひとりで必死に生きるかわいい女性とジャック・ドゥミらしさがすでに満載でした。
アヌーク・エーメのこと
この映画では、始まって10分後にやっと主人公ローラが登場するわけですが、前フリが長い分、最初の登場シーンでのローラ演じるアヌーク・エーメの美しさが非常に際立ちます。キャバレーに入っても、なかなか現れず、引っ張るだけ引っ張ってからの登場ですから、誰もがひと目で彼女に恋してしまうと思います。
キャバレーの踊り子という役どころですが、アヌーク・エーメが演じることによってローラは無邪気でかわいらしいだけではなく、上品で芯の強い女性になっていると思います。スタイルの良さや彼女にはめずらしいダンスシーンにも注目です。
もうひとりの主役、ローラン
ローランはローラの幼なじみで、物語の途中で再会するわけですが、このローランが何だかいけすかないやつで私はあまり好きじゃないタイプなんですよね。人生について悩み、旅に出たくなるのは皆同じ。しっかりしろよと言いたくなります。このローランのストーリーが少し多すぎるような気もしますね。もっとローラを見せて!と言いたくなっちゃいます。
アメリカの水兵さん
キャバレーの客で、アメリカの水兵さんフランキーは素直でやさしくて素敵なキャラクターなんですよね。ローラや息子にも非常にやさしくて、この人でいいじゃんと思えてくるのですが、ローラは案外そっけないんです。いずれいなくなるという点で、ローラの待つミシェルと重ね合わせているのかもしれませんが、フランキーが魅力あるキャラクターになりすぎていて、ミシェルが少々霞むような気もします。その後フランキーと14歳のセシルが出会い、ローラとミシェルとの恋に重なっていきます。
好きなシーン
私が好きなシーンは、キャバレーでダンスの練習をするシーンです。物語とは関係ないと言えばそうなんですが、やはりこのシーンはこの映画に必要なシーンだと思います。ローラの曲の歌詞もよく聴いていただきたいところです。
ゴダール監督の「女は女である」でもこれに似たシーンがあるのですが、フランスではキャバレーの踊り子さんにはこういった自己紹介的な持ち歌があるのですかねぇ。それとも、両方の映画で音楽を担当するミシェル・ルグランのアイデアでしょうか。しかし、この「ローラ」の音楽はすばらしく良いですよね。ルグラン作品の中でもかなり優れたサウンドトラックだと思います。
ひとりごと
この映画はいかにもフランス的と言いますか、普段こういう映画を観ない方には正直あまり楽しめない部分もあるかも知れません。しかし、何とも言えない魅力の詰まった映画であり、ヌーヴェル・ヴァーグを語る上では外せない作品ですので、一度は観て欲しい作品です。
私にとっては、アヌーク・エーメが息子を連れてナントの町を歩くシーンだけでも観ていて楽しく大好きな映画です。
ただ、このラストはどうかなぁとも思います。
つまり男たちに追われながらもひとり待ってるローラが素敵なので、正直、ローラにはいつまでもそのままひとり気ままに自由でいて欲しかった気もします。
それではまた。
おやすみなさい。