映画「黒薔薇の館」(1969)美輪明宏×田村正和の美しきラブストーリー
こんばんは。
今夜は美輪明宏さん主演のカルト・ムービー「黒薔薇の館」(1969)をご紹介したいと思います。
この映画は、前回書いた「黒蜥蜴」(1968)と同じく、美輪明宏(丸山明宏)主演、深作欣二監督というラインナップで製作された美輪映画の第二弾で、美輪さんがファム・ファタールを見事に演じた作品となっております。
共演にはベテラン俳優の小沢栄太郎や若き日の田村正和が名を連ね、美輪明宏×田村正和という、今となってはちょっとめずらしい組み合わせを観ることができます。
脚本は「女囚さそり」シリーズの松尾寛夫と監督の深作欣二の共作。タイトルデザインを手がけるのは、美輪さんとも親交が深いグラフィックデザイナー(現在は画家)の横尾忠則氏。
「黒蜥蜴」同様、残念ながら未DVD化の幻作品ではありますが、「黒蜥蜴」に続き美しすぎる美輪さんを堪能できる作品となっておりますので是非DVD化していただきたいですね。
それではあらすじと作品情報です。
あらすじ・作品情報
夕暮れ時、小さな港町に黒薔薇を手にしたひとりの美しい女が降り立った。彼女の名は藤尾竜子。手にした黒薔薇には真実の愛に出会った時、赤くなるという伝説があるのだと言う。
その日から、その町の資産家佐光喬平が趣味で経営するサロン「黒薔薇の館」へ竜子は現れ、毎夜すばらしい歌声で客たちを魅了してしまう。そのうちに、竜子の夫を名乗る男をはじめ、竜子を追って次々と男たちが「黒薔薇の館」へ現れるようになり、ついに竜子をめぐり殺人事件まで起こってしまう。サロンの経営者である佐光も竜子に魅了され、行くあてのない竜子のため、ついにはサロンを改装し竜子を住まわせる。そんな時、女中と駆け落ちした末、愛に破れ帰ってきた佐光の次男、亘が現れる。亘は黒薔薇に秘めたる竜子の思いを笑い、真実の愛など存在しないと語るが、心は裏腹に次第に竜子に魅かれてゆくのだった。
出演■丸山明宏(藤尾竜子)
田村正和(佐光亘)
小沢栄太郎(佐光喬平)
西村晃(大友)
ジョー山中(ジョージ)※城アキラ名義で出演
室田日出男
松岡きっこ
監督■深作欣二
脚本■松尾寛夫・深作欣二
1969年1月25日公開 91分
感想・レビュー
★★★★☆ 4
まさにファム・ファタール!他に女はいないのかというほどにモテまくり、男たちを翻弄する竜子ですが、それもそのはず確かにめちゃくちゃ美しいです!「黒蜥蜴」とは違い、しとやかで控えめな美輪さんの役どころがまた良いです。
さらに今回歌手の役ですので、美輪さんが歌い踊るシーンが多くあるのですが、そのシーンの素晴らしいこと。このシーンがあることによって、もしかすると「黒蜥蜴」よりも貴重な作品となるのではないでしょうか。おまけにあの田村正和さんと美輪さんが恋に落ちるわけですから。こんなフィルムが残っている事が奇跡のように感じられます。これぞ後世に残すべき名カルト・ムービー!一刻もはやくデジタルリマスターでDVD化ですよ、松竹さん!
見どころピックアップ
- いちばんの見どころは何といっても美輪さんの歌い踊るシーンです。すばらしい歌声が今も耳に残って離れません。
- 横尾さんの手がけるタイトルデザインがとにかくカッコ良い!
- 美輪さん演じる竜子の衣装が素敵です。最初に港に降り立つときの白ずくめの洋服から、サロンで歌うときの華やかなドレスの数々、ネグリジェ?なのか真っ赤なルームウエアなど、どれも素敵でとてもよくお似合いです。そして亘と海へ出かけるときのエレガントなセーター姿も素晴らしく美しいです。
田村正和
- 佐平を演じる小沢栄太郎さんが良いんですよね。なんて素晴らしい役者さんなんでしょう。この方のナレーションがまた良い味出してます。
- 西村晃さんは「黒蜥蜴」に続き下衆な役どころでこれまた良いです。「水戸黄門」で名高い役者さんですが、昔の映画ではこんな役が多いですよね。若尾さんの「越前竹人形」とかね。
- 竜子の付き人役で登場する混血の若者が、なんとフラワー・トラヴェリン・バンドのジョー山中なんです。なかなか顔が映らないんですが、ケンカシーンでやっと映った時は思わず「あっ!ジョー山中!」って叫んでしまいました。音楽ファンにはたまらないですね。
- 田村正和さんはやはり素敵ですね。でも若い頃よりも年齢を重ねた田村さんの方がもっと素敵です。
ひとりごと
「黒蜥蜴」も良かったですが、私はこの「黒薔薇の館」も好きです。というのも、やはり美輪さんが歌い踊るシーンがとにかく素晴らしいんですよね。このお姿をフィルムに収めてくれて本当にありがとう!と言いたくなります。
ストーリーについてはメロドラマと言いますか、そんなに意外性のあるお話ではありませんが、美しい男女のラブストーリーは観ていて悪くないものです。
いつまでも見つめていたほどの魅力が美輪さんにはあります。
それではまた。
おやすみなさい。