若尾文子の映画「傷だらけの山河」(1964) 見逃すには惜しいほどの凄まじい美しさ

 

第一回芥川賞を受賞した石川達三の同名小説を映画化した「傷だらけの山河」。本作での若尾文子さんは主人公有馬勝平の三人目の妾として登場します。若尾さんの主演映画ではないため、出演シーンは多くはないものの、その凄まじい美しさが非常に印象深い作品です。

 

傷だらけの山河(1964)

Story

鉄道を中心に不動産・百貨店など様々な事業を展開する西北グループの会長有馬勝平は、先見の明に優れ非常に敏腕な経営者である一方、あらゆるいざこざを金で片付け、有馬によって追い詰められた取引先に自殺者が出ても気にもとめない冷徹な男だった。また女にも強欲で、ふたりの妾を囲いそれぞれに大学生になる息子までいた。ある時、社内の事務員福村光子を見初め身辺調査をしたところ、女には売れない画家で内縁の夫があった。ふたりの貧乏暮らしにつけ込み取引と称して夫を留学させると、半ば強引に光子を三人目の妾にする。堕落した愛人生活を送っていた光子だったが、ゴルフ場で若い男と知り合いやがて惹かれ合う。しかしその男は勝平の息子秋彦だった。

心優しい秋彦や妾の息子らの反発。新たな路線開通に伴うライバル会社との熾烈な戦いと、土地買収の担当社員とその家族の自殺。様々な問題が立ち上がる中、それらをものともせず次々と新事業を広げていく勝平の強引で非情な人生を描いた野望の物語。

 

 

Review

ケバイ衣装もキマってる若尾さんとうれしそうな山村聰さん

若尾さんが大々的にパッケージやスチールに写し出されていますが、基本的には大会社の非情な経営者の物語であり、若尾さん演じる光子はその非情さと女にだらしない人物設定のために登場する脇役です。つまり若尾さん目当てで観るには少々退屈なシーンの多い映画と言ってしまってもいいかも知れません。ただ、ヒモの夫(もちろん川崎敬三)を抱えた貧乏暮らしの時代も、妾になってからの時代もとにかく若尾さんは凄まじく美しいです。とくに妾生活に入ってからは派手な衣装とヘアースタイルがばっちりキマッて最高にキレイですし、ネグリジェ姿やゴルフウエア姿もステキなんですよね。そして言いなりの妾たちと違って会長の世話も焼かず好き勝手やりたい放題のワガママ女っぷりがまた良いんです。この時代の映画にして152分という大ボリュームで少々疲れますが、若尾ファンならやはり一度は観ておきたい作品ではないかと思います。

ストーリーに関しては、主人公の有馬勝平の言っていることは決して間違いではなく、厳しい社会においてあれだけの大会社を築きあげるには当然のかけ引きとも感じますが、とにかく感じの良い人ではないことだけは確かであり、とくに妾の息子の複雑な心境はちょっと切ないものがありました。そして突然のラストもはっきり言って意味不明ですが、このくらいの非情さがなければ大金は掴めないという事だけはよくわかりました。

 

 

作品情報

傷だらけの山河 [DVD]
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出演者■山村聰(有馬勝平)

若尾文子(福村光子)

高橋幸治(有馬秋彦)

船越英二(有馬和雄)

川崎敬三(酒井吉春)

監督■山本薩夫

脚色■新藤兼人

原作■山本達三「傷だらけの山河」

1964年4月4日公開 152分 モノクローム

※こちらは残念ながらDVDレンタルの取り扱いはありませんでした。(TUTAYA DISCAS調べ)

 

 

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