映画「真夏の夜のジャズ」(1960) スタイリッシュなジャズ・フェスの記録

 

ジャズについてのドキュメンタリー映画って意外とたくさんあるのをご存知でしょうか?そんな「映画で観るジャズ」の中から、おすすめの作品をご紹介します。

 

真夏の夜のジャズ(1960)

「LIFE」誌や「VOGUE」誌などで活躍した売れっ子フォトグラファー、バート・スターンが、ニューポート・ジャズ・フェスティバル(1958年7月3日から6日)とアメリカズカップ(ヨットレース)を交えて撮るジャズ・ドキュメンタリー映画。撮影当時28才の若きバート・スターンが、写真家らしいスタイリッシュな目線で、4日間のジャズ・フェスティバルを切取っています。同じく写真家で映画監督のアラム・A・アバキャンが半年かけて編集した本作は、1959年第12回カンヌ映画祭で特別公開され、その斬新なカメラワークが話題となりました。

Twiggy     Photo By Bert Stern

バート・スターンと言えばマリリン・モンローの死去直前に彼女の写真を撮り下ろした写真集「The Last Sitting」のフォトグラファーとしても有名ですが、オードリー・ヘプバーンやツイッギーをモデルに撮ったファッション・フォトも素晴らしく、その卓越したセンスに目をみはります。

 

 

見どころピックアップ

  • ヨットレース会場の揺れる水面に映る光と影。ジャズ・フェスティバルへ向かう観客たちは皆ヒップなファッションに身を包み、心からジャズを楽しむために夏の午後フェスティバルへとやってきます。静かに流れるJimmy Guiffre Threeの「Train & The River」が実に良い。トップシーンからあまりのスタイリッシュさに驚かされます。
  • ライヴを観ている観客たちの姿が演奏シーンの間に挟み込まれるのがこの映画の特徴なんですが、そのお客さんたちのお洒落なこと!音楽に合わせてダンスをする人、赤ん坊を連れた人、アイスクリームを食べる人…。それらの人々に共通するのはライヴを見つめる熱い視線です。そしてその姿をクールに切取るカメラ。カッコ良すぎ。
  • Thelonious Monk Trioのライヴシーンは下からのアングルでもの静かなモンクの演奏を撮ると同時に、ヨットレースの映像をカットインさせ、美しい音楽と美しい映像が重なりまるで真夏の幻のよう。個人的にはモンクの奏でる「Blue Monk」がこの映画の中でいちばん好き。
  • Sonny Stittの「Blues」とAnita O’Day「Sweet Georgia Brown」「Tea For Two」で観客は大盛り上がり。アニタの歌声を生で聴いてみたいと心から感じるシーン。羽飾りがポイントのブラックドレスもクール。

アニタ・オデイ

  • 会場近くのカフェーでも音楽に身体を揺らし、心からジャズを楽しむ人々の姿が切取られます。こういう映像を挟み込むアイデアはやはりカメラマンの鋭い審美眼あってこそ。
  • 日暮れてさらに盛り上がる会場に流れるロックン・ロール!そうです、Chuck Berryの登場です!例の片足ダンスも披露しサービス満点。ギターの名手ですが歌もすごく良い。
  • Chico Hamiltonの繊細で熱い演奏も素晴らしいんです。これぞジャズ。
  • Louis ArmstrongはMCを含め4曲収められていますので、ユーモラスでブルージーな世界にどっぷりと浸って下さい。

 

 

作品情報

監督■バート・スターン

音楽監督■ジョージ・アバギャン

撮影■バート・スターン、コートニー・ハフェラ、レイ・フィーラン

1960年3月28日公開(アメリカ)

出演・収録曲 18曲

  • Jimmy Guiffre Three「Train & The River」
  • Thelonious Monk Trio「Blue Monk」
  • Sonny Stitt&Sal Salvartor「Blues」
  • Anita O’Day「Sweet Georgia Brown」「Tea For Two」
  • George Shearing Quintet「Rondo」
  • Dinah Washington「All Of me」
  • Gerry Mulligan Quartet「As Catch Can」
  • Big Maybelle Smith「I Ain’s Mad At You」
  • Chuck Berry「Sweet Sixteen」
  • Chico Hamilton Quintet「Blue Sands」
  • Louis Armstrong All-Stars「Lazy River 」「Tiger Rag」
  • Louis Armstrong&Jack Teagarden「Rockin’ Chair」
  • Louis Armstrong All-Stars「When The Saints Go Marchin’ In」
  • Mahalia jackson「Shout All Over」「Didn’t It Rain」「Lord’s Prayer」

 

 

以上、「真夏の夜のジャズ」についてご紹介いたしましたが、残念ながら日本語字幕つきDVDは廃盤のため少々プレミアがついている状態です。しかし!2015年にサウンドトラックと本編のDVDとのセットという商品が発売されておりますので、気になる方はお早めにどうぞ。ただし、AmazonレビューによるとこのDVDには日本語字幕がないようです。といってもナレーションと司会者やルイ・アームストロングのMC意外に言葉はありませんので、この際字幕なしでもいいでしょう。

「映画で観るジャズ」について他にもご紹介しておりますのでよろしければそちらもどうぞ。

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それでは今夜はこのへんで。

おやすみなさい。

 

 

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