池波正太郎の映画本から観た映画「さらば愛しき女よ」(1976)

 

池波正太郎の映画本「味な映画の散歩道」で紹介されていた102本の映画の中から、気になる映画3本をピックアップして観てみました。

 

池波先生の本の詳細と他2本についての前編に続き今回は後編として3本目、レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説「さらば愛しき女よ」(1940年刊)を原作とした映画について書きたいと思います。

チャンドラーのこの小説を原作とした映画は他にも「ブロンドの殺人者」(1944)がありますが、今回は1976年公開の「さらば愛しき女よ」ですのでお間違えのなく。

 

 

さらば愛しき女よ(1976 アメリカ)

 

マーロウ演ずるロバート・ミッチャムがこの監督を得て生彩を放つのも当然だろうがそれにしても、このミッチャムは良かった。

池波正太郎「味な映画の散歩道」より

 

この映画について池波先生が褒めていたのはずばり、監督ディック・リチャーズと主人公フィリップ・マーロウを演じたロバート・ミッチャムでした。

監督のディック・リチャーズは「LIFE」誌や「Esquire」誌などの一流雑誌でカメラマンをしていた経歴があるそうで、池波先生曰く「画面の密度が登場人物のムードをかもし出し、よき情景をつくりあげている」そうですが、確かにハードボイルドな世界観が見事に映像化され、雰囲気の良さに心躍る作品に仕上がっておりました。

「さらば愛しき女よ」以外にもレイモンド・チャンドラー原作で主人公フィリップ・マーロウが登場するシリーズの映画は多くあり、ハンフリー・ボガートをはじめとする多くの俳優が演じたマーロウの中で最も年輩なのがこのロバート・ミッチャムのマーロウなんですね。

正直、冒頭の登場シーンでは原作との違いに少々違和感を感じましたが、「ロバート・ミッチャムのマーロウが、最も原作の雰囲気をたたえている」と池波先生も絶賛の通り、始まって数分のうちに「こんなマーロウも素敵」と納得させられてしまいました。

 

 

見どころピックアップ

ロバート・ミッチャム

  • 池波先生の本では触れておりませんが、脇を固める俳優陣も素晴らしかったです。グレイルの妻、ヘレンを演じたシャーロット・ランプリングの美しさ!まさに「レースのパンティみたいに可愛い女」です。謎の大男ムース・マロイを演じたジャック・オハローランや、アル中のジェシー役のシルビア・マイルズ。ワルの女傑を演じた巨漢の女優や、その手下に若かりし頃のシルベスタ・スタローンまで配役は完璧で、全く違和感を感じる事無く映画の世界に浸って観る事ができました。
  • マーロウをはじめ、登場人物たちのセリフやマーロウの語りの内容の素晴らしさにも唸りました。原作がいいからというのもあると思いますが、ウィットに富んだセリフの数々に思わずニヤけてしまいます。

Story

「7月も半ばだってのに俺は落ち込む一方だ」

安ホテルに身を隠す探偵フィリップ・マーロウはこの数日起こった事件を思い返していた。

ヤンキースのディマジオの連続安打記録の更新が迫る中、家出娘を探す仕事の途中で出会った大男、ムースにヴェルマという女を捜すよう依頼を受ける。ヴェルマの捜索を続けながら、翡翠に絡んだ別の依頼を受け指定の場所へ向かうと、突然襲われ意識を失う。気づくと依頼人は殺されマーロウは犯人に仕立てあげられていた。疑いが晴れ警察を出たマーロウは、真相を探るべく向かった翡翠コレクター、グレイルの屋敷で美しい妻、ヘレンに出会う。探偵事務所に戻ったマーロウは再び襲われ屋敷に監禁されると、屋敷の主、女傑アムソーからムースに会わせるよう迫られる。異なるふたつの依頼がひとつにつながった。ディマジオの記録を気にしながら何とか屋敷を逃げ出し、ヘレンに誘われて行ったパーティで大物政治家ブルネットからもムースに会わせるよう依頼される。果たしてディマジオの記録は更新されたが、ヴェルマは見つからないまま。

安ホテルへ警官ナルティを呼び一部始終を話すと、マーロウはムースとふたり、ヴェルマを捜すべく、ブルネットの開く船上パーティへ向かうのだった。1976年6月12日公開 95分

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以上、池波正太郎「味な映画の散歩道」に紹介された102本の映画から気になる映画3本を前編・後編に分けご紹介致しました。

それではまた。

おやすみなさい。

 

 

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