池波正太郎の映画本から観た映画 「コンドル」「トリュフォーの思春期」

 

「鬼平犯科帳」や「剣客商売」など数々の歴史小説を残した作家、池波正太郎の映画本「味な映画の散歩道」で紹介されていた102本の映画の中から、気になる映画3本をピックアップして観てみました。

 

まずは池波先生の本のご紹介から。

1975年9月から1977年7月の「小説現代」に掲載された池波正太郎の「映画日記」の中から

  • 「池波正太郎の映画の本」文化出版社(’76.12)
  • 「私のスクリーン&ステージ」雄鶏社(’77.8)
  • 「フランス映画日記」文藝春秋(’78.10)

の三冊に掲載されたいくつかのエッセイを集め、2013年2月に河出書房より出版された言わば再編集版の映画本。

池波正太郎が試写に出かけて観た映画とその後食べた食事、そして仕事を済ませた後に聴いた音楽や読んだ本などについて書かれたエッセイで、まさに「映画日記」なのですが、ここに紹介された映画は当時公開された映画が殆どですので、つまり1970年代後半の映画という訳です。

そんな70年代後半の映画の中から3本をピックアップし、今回はその前編という形で2本の映画について書きました。

 

 

コンドル(1975 アメリカ)

 

 

エレガントな殺し

池波正太郎「味な映画の散歩道」より

 

こんな風に紹介されたうえ、ロバート・レッドフォードとフェイ・ダナウェイの共演となれば観ない訳にはいきません。

池波先生のおっしゃる通り、殺しのシーンはまさにエレガント。おキャンな役の多いフェイ・ダナウェイが、珍しくインテリでもの静かな女性を演じていて、とても素敵でした。彼女の撮った写真について主人公ターナーが語るシーンが印象的です。

殺し屋役のマックス・フォン・シドーも非常に洗練されたキャラクターで、キャストといいカメラワークといい、すべてに品が感じられるお洒落な映画。

原作のジェームズ・グラディ「コンドルの六日間」を読んでみたくなりました。

 

Story

ニューヨークにあるCIAの秘密情報機関で働くターナー(ロバート・レッドフォード)は、「世界中の雑誌や書籍の中に隠されているかもしれない暗号を探し出す」という一風変わった情報分析の仕事ため本ばかり読んでいる。ある日ターナーが買い物に出た数分の間に、職場が襲われ同僚たちは皆殺しにされてしまう。コードネーム「コンドル」を告げCIA本部に助けを求めるも、やってきた男はターナーを殺そうとする。そこから逃亡劇が始まり、偶然出会った女(フェイ・ダナウェイ)を拉致し、部屋に居座りながら真実を追究してゆく。1975年9月24日公開(アメリカ) 118分

コンドル [ ロバート・レッドフォード ]
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トリュフォーの思春期(1976 フランス)

 

この映画の風趣のすばらしさを、どのように喩えたらよいだろう。

池波正太郎「味な映画の散歩道」より

 

ここまで褒めている映画はこの本の中でも数少ないです。

特に大きなできごとがあるわけではなく、子どもたちの日常を丁寧に描いたこの作品は、私たちの身近やどこにでもみられる「思春期」の始まりの物語なのです。池波先生も褒めていた通り、子どもたちの、あまりに自然な演技がとにかくすばらしい。

そして、監督であるフランソワ・トリュフォーの、子どもに対する熱くやさしい思いがぎっしり詰まった人間味溢れる作品であり、池波正太郎に「これこそ、まさに『映画』である。」と言わしめた最高傑作です。

自分自身の幼い頃に重ね合わせて観ると、何ともセンチメンタルな気持ちになってしまいます。

Story

フランスの小さな町の小学校では、いたずら盛りの子どもたちが元気に遊びまわっていた。そこへぼろぼろの服を着た男の子、ジュリアンが転入してくる。すぐに皆と打ち解け、万引きしたり映画館へ忍び込んだりと悪さし放題。また、クラスを受け持つリシェ先生や生徒たちの何人かは同じ団地に暮らし、そこでも子どもたちが何かしら小さな事件を巻き起こしながら、夏休み前の時を過ごしていた。

車椅子の父親と二人暮らしのパトリックは、友人ローランの母に憧れたり、友だちのナンパに付き合わされたりしながら、少しずつ異性を意識し始める。ある時、身体検査でジュリアンが母から虐待を受けていたことが分かり、クラス中がショックを受ける。そんな子どもたちにリシェ先生が思いを込めて子どもたちに話をすると、夏休みが始まるのだった。1976年3月17日公開(フランス) 105分

アデルの恋の物語+トリュフォーの思春期 [ イザベル・アジャーニ ]
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以上、102本の中からのほんの2本ですがご紹介しました。後編の「さらば愛しき女よ」もよろしければ是非どうぞ。

それではまた。

 

 

 

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