若尾文子の映画「閉店時間」(1962) 気がつけば野添ひとみに恋してる
若尾文子さん主演の映画「閉店時間」(1962)を観た。(2017年12月初DVD化)
オープニングからペギー葉山さんの「恋をさがしている私」に乗って、シックなファッションに身を包み気取ってポーズを決めるマネキンたちがイカシていてグッと引き込まれる。原作は有吉佐和子さんの同名小説で、ごく簡単に言うと若尾さん・野添ひとみさん・江波杏子さんの三人娘がデパートで働きながら恋に仕事に奮闘するお話だ。2017年は何本かの大映映画を観て、そのすべては若尾文子さん目当てだった私ですが、今回この「閉店時間」を観ていて自分の中のある感情に気がついた。それは野添ひとみが好きってこと。片思いの彼の友だちに相談するうちに、いつの間にか友だちの方に恋をしてしまう女学生のように、気づけば若尾さんを通り越し野添さんに見とれている私がいた。もちろん若尾さんもいつも通りの美しさでステキだし、江波さんも江波さんらしい小悪魔的魅力ですばらしいのですが、どうしても野添さんに釘付けになってしまう。それが「閉店時間」の野添ひとみなのだ。一見いちばん地味で“ふつう”の女の子といった役どころの彼女がいちばん輝いているってのがまた良い。若尾さん演じる紀美子と野添さん演じる節子がボーイハントをするシーンでは、あまりにお二人が可愛らしくって観ているだけでシアワセになれるし、節子の告白シーンなんてもう映画史に残る名シーンと言っても過言ではないと思う。あのチャーミングな顔。スラッとしてスタイルの良い身体。ユーモアセンスのあるお芝居。どこをとっても完璧だ。野添ひとみが好きで堪らない。あぁ2018年は若尾さんだけでなく野添ひとみさんについても考えなければ。
閉店時間(1962)
Story
紀美子(若尾文子)・節子(野添ひとみ)・サユリ(江波杏子)の三人は学生時代からの友人で同じデパートで働くBG(ビジネスガール)だ。紀美子は呉服売り場で生意気な後輩生方(川口浩)と張り合いながら、女性であっても男性と対等に仕事も恋もしたいと考える勝気で真面目な性格。地下食品売り場で惣菜を売る節子は、世話好きでやさしく家庭的なタイプ。エレベーターガールのサユリは派手なファッションに身を包み、恋愛を自由に楽しむ主義だ。タイプの違う三人の女性がそれぞれに恋に仕事に悩みを抱えながらも、働く女性たちの奮闘する姿を軽快に描いた文芸青春大作。
見どころピックアップ
- 中村八大作曲、井上梅次(監督)作詞の主題歌「恋をさがしている私」と挿入歌「三つの恋」が非常に良いです。欲しくなってちょっと調べてみたのですが、レコードのシングル盤しかないようでなかなか手に入りそうにありませんね。ピチカート・ファイヴの小西さんもいつかのラジオで「恋をしている私」を流したみたいです。
- お洒落なデパートガールという役どころなので、閉店後のお三方の私服がめちゃくちゃかわいいです。(特に野添さんのセットアップ!)ファッション・ショーのシーンもあり、60年代のステキなファッションが見られるのも嬉しいです。
- 若尾さんが朗読するシーンがあるのですが、これがいいんですよね。ちょっと鼻にかかった美しい声で読み上げる岡本かの子。良すぎです。
- 川崎敬三さんがなかなかのジゴロっぷりでとてもカッコいいんですよね。これは騙されても仕方ありません。川崎さんはこういう悪い男が本当にハマリます。(いい意味です)
- 川口浩さんも安定の爽やかさです。何度考えてみても大映の俳優の中ではやっぱり川口さんがいちばん好き。
作品情報
出演■若尾文子(松野紀美子)
野添ひとみ(藤田節子)
江波杏子(牧サユリ)
川崎敬三(畠英也)
川口浩(生方誠)
竹村洋介(竹井安雄)
原作■有吉佐和子「閉店時間」
監督■井上梅次
脚本■白坂依志夫
音楽■中村八大
※レンタルに取り扱いのない作品です。(TUTAYA DISCAS調べ)
それではまた。