若尾文子の映画「銀座っ子物語」(1961) スポーツ好青年と着物とジャズと

 

先月(2018年9月)発売された若尾文子さん出演映画「銀座っ子物語」(1961)を観ました。

銀座の呉服屋の三兄弟が揃ってひとりの美女に恋するというお話しで、三兄弟家族がメインのため若尾さんの出演シーンは少なめなのですが、銀座のホテル令嬢という役柄のせいか、高級感のあるモダンなファッションに身を包んだ若尾さんはやはり美しかったです。

ところでこの映画、あの『嵐を呼ぶ男』(1957)を撮った井上梅次監督作品でして、音楽的に見てもなかなかすてきな映画なんです。オープニングで銀座の朝(朝の銀座って映画でそうお目にかかれない光景ですよね)に流れるジャズもいいですし、ところどころで三兄弟が歌う曲も、ラテン調のアップテンポな曲で、歌詞を含めなかなか洒落てていいんですよね。そういえば、若尾さんの出演映画で『閉店時間』(1962)というのを以前観ましたが、こちらもペギー葉山さんの歌が非常に印象的な映画で、やはり井上監督作品でした。

気になって、家にあったずいぶん昔のジャズ批評(特集 映画音楽とジャズ №165)をペラペラやってみたところ、どうやら井上監督は音楽に造詣の深い方のようで、『青春ジャズ娘』(1953)だとか『娘十六ジャズ祭り』(1954)、『ジャズオンパレード 』シリーズなどのジャズ映画を何作か撮っていることを知り、ジャズ映画も好きな私にとってはうれしい発見となりました。そんな訳で、井上梅次監督とジャズがばっちり繋がったところで「銀座っ子物語」についてもう少し書かせて下さい。

 

 

銀座っ子物語 (1961)

Story

銀座の呉服屋『帯清』の三兄弟(川崎敬三/川口浩/本郷功次郎)は、三人ともスポーツ万能で近所で評判の好青年。ただ着物には誰ひとりとして興味がなく、跡を継ぐ気配がない。そんな三人が揃って、偶然出会った美女 千加美(若尾文子)に恋をする。彼女のハートを射止めるのは誰か?そして『帯清』の跡継ぎは…。

 

 

Review

さわやかな三兄弟が巻き起こす恋愛コメディといった感じの仕上がりで、あくまでメインは三兄弟とその家族ですが、若尾さんに加え、三兄弟のいとこ役の野添ひとみさん、近所の喫茶店の娘役で江波杏子さんと、チャーミングな大映3人娘が登場するのはやはりうれしいです。野添さんと江波さんも相変わらずかわいらしくてステキですし、若尾さんがこれまたほんっとにキレイでうっとり。まったくいつ見てもセンセーショナルな美しさです!

見どころピックアップ

  • 川口浩さんの実母である三益愛子さんが三兄弟の母親役なので、お二人の親子役での共演が観られたのはうれしかったですね。
  • 今回銀座のホテルの令嬢という役どころの若尾さんですが、またまたファッションがすてきです。まず登場シーンはピンクのスーツに黒のパイピングと帽子、手袋は白です。川崎さん演じる長男一郎とナイトクラブで出くわすシーンでは、白ワンピに緑のストール。他にもベージュにオレンジ色のボタンがついたかわいいセットアップグリーンの襟のベージュコートに、中のスーツもグリーン。着物シーンはこれまた最高にステキでよくお似合いの白地の総柄水色のワンピースにチェックのストールなんてのもありました。そして最後は真っ赤なスーツです。これも良かったですね。個人的には着物か白ワンピが好きでした。
  • 今回も野添さんがまたカワイイ役どころで、すごく良かったですねぇ。川口さんとの息の合ったやりとりもステキで、見ていてうれしくなっちゃいました。
  • 二代目中村鴈治郎さんが三兄弟の父親役なのですが、やはりいいですね。若尾さんとの共演作、「浮草」や「東京おにぎり娘」なんかで何度か拝見しておりますが、やはり存在感のあるすばらしい役者さんです。

 

 

作品情報

出演■若尾文子

川崎敬三

川口浩

本郷功次郎

野添ひとみ

中村雁治郎

三益愛子

監督■井上梅次

1961年1月3日公開 94分 カラー

 

それではまた。

 

 

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