100本観て厳選したおすすめのフィルム・ノワール映画

 

フィルム・ノワールの映画を100本以上観た私が、自信を持っておすすめする本当におもしろいフィルム・ノワールの名作・傑作をご紹介したいと思います。

 

拳銃貸します(THIS GUN FOR HIRE 1942🇺🇸)

フランク・タトル監督作で、原作はミステリ作家グレアム・グリーンの『拳銃売ります』

依頼人の裏切りにより追われる身となった一匹狼の殺し屋。偶然出会った女を巻き込み逃走するが、その女は刑事の恋人だった_。

とんでもなくカッコイイ映画で、ハンマーで頭を叩かれたくらいの衝撃を受けました。殺し屋を演じるアラン・ラッドと刑事の恋人役ヴェロニカ・レイクのお二人が、無口でクールで美しくてとにかく素敵なんです。ところどころで猫が登場するのも大好きなところ。あらゆる映画の中でいちばん好きな映画。

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マルタの鷹(The Maltese Falcon 1941🇺🇸)

ジョン・ヒューストン監督デビュー作で原作はダシール・ハメットによる同名小説。

美女からの依頼で、ある男を尾行していた探偵スペードの相棒が殺される。続いてその男が殺され、警察に疑いをかけられたスペードは、真相を探るうち“マルタの鷹”と呼ばれる彫像についての伝説を知る__。

これには参りました。まずテンポが良い。そして登場人物のキャラクターが良い。いちいち存在感がすごい。そしてボギーがとにかくカッコいいんです。正直ハンフリー・ボガートの良さがイマイチわかってなかった私ですが、この映画で完全にK.O.されました。ダブルのスーツと友情の映画。

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※こちらは配信でも観られます

アスファルト・ジャングル (The Asphalt Jungle 1950🇺🇸)

こちらも『マルタの鷹』のジョン・ヒューストン監督作品。

無骨な競馬狂の男が、出所したての知能犯に誘われ、仲間と共に100万ドルの強盗計画に加わる__。

この映画を観て驚いたのは、あらゆるシーンがジャン=ピエール・メルヴィルの様々な映画に影響を及ぼしていたこと。メルヴィルファンは一見の価値ありだと思います。

もちろんすばらしい傑作で、若きマリリン・モンロー の出演で有名な作品でもありますが、マリリンはさほど筋とは関係なく完全に男の世界でした。ジョン・ヒューストンって何者なんだ。大男と小男の映画。

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※こちらは配信でも観られます

 

 

ローラ殺人事件 (Laura  1944🇺🇸)

オットー・プレミンジャー初監督作品。

美人実業家ローラ・ハントが散弾銃で顔面を撃ち抜かれ殺された。担当の刑事は、彼女のパトロンや婚約者などを調査し、ローラの部屋で手がかりを探すうちについ眠り込んでしまう。そこへ突然死んだはずのローラが帰ってくる。殺されたのは一体誰なのか。そして犯人は__。

とにかくローラを演じるジーン・ティア二ーが美しいです。彼女のファッションやヘアスタイルがシーンごとに変わり、その美しさを余すとこなくひたすら撮りまっています。(山田宏一さんの本によると、髪型は6回衣装は22回変えているそう)

いかにもノワール的仕上がりで、一度は観ておいて損はない映画だと思います。レインハットと野球ゲームの映画。

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過去を逃れて (Out of the Past 1947🇺🇸)

ジャック・ターナー 監督作。

元探偵の男が昔の依頼人から呼び戻され、新たな依頼によって事件に巻き込まれてゆく__。

これも良かったです。運命の女に出会ってしまった男たちの無力さよ。女の悪事に薄々気づきながらも、自ら巻き込まれてゆくロバート・ミッチャムがたまらなく素敵に見えます。個人の感想ですが、この映画の端々に村上春樹的世界観を感じたので村上ファンは是非。ザ・ファムファタールな映画。

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らせん階段 (The Spiral Staircase 1946🇺🇸)

ロバート・シオドマク 監督作。

ニューイングランドの街で、身体に障害のある女性ばかりが殺害される連続殺人事件が起きる。両親の死をきっかけに話すことができなくなった女中ヘレンが次に狙われるのではと、まわりの人々は心配するが…。

初っ端からけっこう不気味で、ハラハラどきどきスリル満点で怖かったです。シオドマク作品は『幻の女』などもそうですが、カメラアングルがなかなか凝っていてゾッとする怖さがあります。この後2度もリメイクされているだけあって、話しもしっかりして面白くグイグイ引き込まれました。地下室と電話の映画。

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夜の人々 (They Live by Night 1948🇺🇸)

ニコラス・レイ監督デビュー作。

仲間二人と共に刑務所から脱獄した青年が、逃走を手助けした娘と恋に落ちるが、仲間から銀行強盗をもちかけられて…。

犯罪よりもお互いに強く惹かれ合う若き男女の恋に重点を置いたロマンチック・ノワール。主演の ファーリー・グレンジャーとキャシー・オドネル のカップルが何とも可愛らしくて、それだけに犯罪に手を染めざるを得ない運命が悲しい。ヌーヴェル・ヴァーグ の監督たちにも多大な影響を与えた作品らしく、行き当たりばったりの無垢な若者の宿命的な物語に震えました。腕時計とメキシコの映画。

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現金に体を張れ (The Killing 1956🇺🇸)

スタンリー・キューブリック ハリウッド第一作。

出所したばかりの男が仲間を集め競馬場での大胆な強盗計画を企てるが、仲間のひとりの悪妻がその計画を嗅ぎつけて…。

共犯者たちそれぞれ追った重層構造で描かれた作品ですが、まわりくどさはなくスリルが増しておもしろかったです。悪妻役のマリー・ウィンザー さんが本当に憎たらしくっていい仕事してます。ラストが最高にカッコいい。もしかしてアラン・ドロン×ジャン・ギャバンの『地下室のメロディ』の元ネタかな…。覆面とスーツケースの映画。

現金に体を張れ スタンリー・キューブリック
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ガス燈 (Gaslight 1944🇺🇸)

パトリック・ハミルトン の戯曲をジョージ・キューカー監督が映画化。

妻の叔母が殺されたロンドンの自宅で新婚生活を始めた夫婦だったが、その日から妻の様子がおかしくなり…。

名作として名高い映画ですが、観てビックリです。こんなにおもしろいんですね。ユーモアありスリル&サスペンスあり、伏線良しカメラ良し俳優良しぜーんぶ良しで非の打ち所がない“完璧”な映画なんですもん。噂通りというか噂以上の名作でした。必見です。手袋と懐中時計の映画。

ガス燈 ジョージ・キューカー
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拳銃魔 (Gun Crazy 1950🇺🇸)

ジョセフ・H・ルイス監督作。

幼い頃から拳銃に魅せられたひとりの男が、同じく拳銃使いの女と出会い、やがて破滅へ向かっていく。

『俺たちに明日はない』に決定的な影響を及ぼしたとされる“愛の逃避行モノ”。善良な拳銃マニアだったはずの男が、女と出会い本当にアッという間に転落していくのが観ていて心苦しかったです。でもこのくらい愛せる人に会えたなら、それはそれでしあわせなことかもしれないですね。Uターンと泥沼の映画。

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死の接吻 (Kiss of Death 1947🇺🇸)

仲間思いの窃盗常習犯の男が、服役中に仲間の裏切りを知り、検事から持ちかけられた取引に応じるのだが__。

オープニングからハラハラさせられっぱなしで、スリル満点おもしろかったです。イカれたチンピラ役のリチャード・ウィドマークはこれがデビュー作だそうですが、ものすごい存在感で、主演のヴィクター・マチュアと互角に渡り合っていました。黒シャツと車椅子の映画。

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危険な女 (THE LOCKET 1946🇺🇸)

ジョン・ブラーム監督作。

結婚式直前、ひとりの男が新郎の前に現れ、新婦は元妻で非常に危険な女だと忠告するが…。

いろんなノワールモノを観ましたがこれは本当にすごかった。新郎の前に現れた男の回想の中に現れるもうひとりの男( ロバート・ミッチャム )の回想の中で、新婦である女がまた回想するという…ありえない回想ループ形式でありながらめちゃくちゃおもしろい!危険な女役ラレイン・デイの悪さに震え上がります。途中登場する画家役のミッチャムも最っ高に良いですし、ラストも完璧で文句なしの100点ノワールです。首飾りとオルゴールの映画。

危険な女 [ ラレイン・デイ ]
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殺人者 (The Killers 1946🇺🇸)

ロバート・シオドマク 監督作で原作は アーネスト・ヘミングウェイの短編。

田舎町のダイナーに突如現れた二人の殺し屋。間もなくひとりの男が殺されると、保険調査員により次第にその男の過去が明らかになり__。

ほんっとにたまらなく良かったです。エヴァ・ガードナーの心ない悪女っぷりが酷すぎる…けどすばらしかったし、そんな女を心底愛してしまったバート・ランカスター も、ハリウッドデビュー作にしてすさまじい存在感を見せつけていました。シオドマク監督に敬礼です。ワンストラップのドレスとブローチの映画。

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ビッグ・コンボ (THE BIG COMBO 1955🇺🇸)

『拳銃魔』のジョーゼフ・H・ルイス 監督作。

巨大な悪の組織に立ち向かうひとりの刑事の物語。

これもフィルム・ノワールを語る上で欠かせない作品らしいですが、噂通りのすばらしさでした。陰影を巧みに使った映像から肌に伝わるスリル。メロウなテーマ曲。魅力溢れる登場人物たち。細かい部分にまで拘りを感じる傑作でした。ハイヒールとダイナマイトの映画。

 

 

ミルドレッド・ピアース (Mildred Pierce 1945🇺🇸)

『カサブランカ』のマイケル・カーティス監督作。

ミルドレッド・ピアースというひとりの女性の人生模様を回想形式で描いたフィルム・ノワール。

これも好きでした。子どもを大切に思うやさしい気持ちが、女を強くすると同時に人生最大の落とし穴になるとは…何とも皮肉です。甘やかしも程々に、親バカは良いけどバカ親にならないよう気をつけなければ。ミルドレッド役のジョーン・クロフォード も、『仮面の男』のザガリー・スコットもすばらしかったです。どちらかと言えば女性向きかな。娘とウエートレスの映画。

ミルドレッド・ピアース [ ジョーン・クロフォード ]
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非情の罠 (Killer’s Kiss 1955🇺🇸)

スタンリー・キューブリック監督による67分の中編。

潮時のボクサーがとなりに住む女と出会い、事件に巻き込まれてゆく__。

女の奪い合いというシンプルなストーリーながら、窓から見えるお互いの部屋や、乾いたニューヨークの倉庫街、マネキン倉庫などのスタイリッリュなショットが非常に印象的でたまらなくカッコいです。撮影はキューブリック本人が担当しているそうで、ショットへの並々ならぬこだわりとカメラ小僧感がひしひしと感じられました。あと、いかにもなノワール的美女ではないですが、とても素敵で魅力的なアイリーン・ケインをヒロインとしているのも新鮮で、キューブリック監督のセンスが光る作品でした。タクシーダンサーとマネキンの映画。

非情の罠 スタンリー・キューブリック
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復讐は俺に任せろ (The Big Heat 1953🇺🇸)

フリッツ・ラング監督作。

ある巡査の自殺についての調査中、突然妻を殺された刑事バニオン。警察上部と悪の組織との繋がりに気づいたバニオンは刑事を辞め、たったひとりで妻殺しの犯人を追う__。

ノワール的でありながら、誰が観てもおもしろい一流の作品に仕上がっていて、さすがとしか言いようがないです。無口で男らしいグレン・フォードさんが超カッコよくてシビれます。毛皮のコートとホットコーヒーの映画。

復讐は俺に任せろ
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※こちらは配信でも観られます

白熱 (White Heat 1949🇺🇸)

ラオール・ウォルシュ監督作。

凶悪なボス、コーディ率いるギャング団は、汽車強盗の末追いつめられる。同時刻に起こった別事件で自首し、重罪を逃れたコーディの元へ、財務省から潜入捜査のためひとりの男を送り込む__。

ハラドキの潜入捜査モノですが、こちらもとんでもない傑作でした。マザコンのギャングのボスを演じるジェームズ・ギャグ二ーの狂気の演技にただただ圧倒されます。捜査する財務省側もなかなかで、凶悪犯をチームワークで冷静に追い詰めてゆく様は見応えアリ。ラストもすごかった。良母と悪妻の映画。

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ワーナーホームビデオ

※こちらは配信でも観られます

狩人の夜 (The Night of the Hunter 1955🇺🇸)

俳優のチャールズ・ロートンが手がけた唯一の監督作。

家族のために銀行強盗をした男が、奪った金を幼な子に託し死刑となる。ところが、男と刑務所で同房だった極悪犯ハリーがそのことを嗅ぎつけ、釈放されるとすぐに伝道師になりすまし子どもたちの住む街へと向かう__。

こわい。こわいこわい。ロートン監督は『マザーグースの話を悪夢風にアレンジしたものを作りたかった』そうですが、こんなカルト・ノワールってありですか?邪悪な空気漂わせまくって飄々と人を騙し歩くロバート・ミッチャム怖すぎます。指に刻まれた『L.O.V.E』と『H.A.T.E』がまたおぞましい。ホラーとは違う怖さですが、本当に震え上がりました。人形とライフルの映画。

狩人の夜 [ ロバート・ミッチャム ]
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仮面の男 (Mask of Dimitrios 1944🇺🇸)

ジーン・ネグレスコ監督作。

イスタンブールである凶悪犯の死体を見た小説家が、小説のネタに死体の男の半生を追うが、そこへ謎の男が現れて_。

『マルタの鷹』や『カサブランカ』に続く、ピーター・ローレ とシドニー・グリーンストリートの共演作。これもすごくおもしろかったです。隠れた名作と言っちゃっていいと思います。やはりピーター・ローレさんは名優だし、これがデビュー作というディミトリオス役のザカリー・スコットも素晴らしかったです。あまりにおもしろかったので、エリック・アンブラー の原作本『ディミトリオスの棺』も借りてきて読みましたがやはり傑作でした。死体安置所と寝台列車の映画。

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ジュネス企画

暗い鏡 (The Dark Mirror 1946🇺🇸)

ロバート・シオドマク 監督作。

ある男が射殺され、警察は前夜一緒だった女を取り調べるが、女は双子でアリバイが崩せない。精神科医に二人を見分ける方法を探らせた警察は、精神科医から双子のひとりは精神異常者だと知らされる。

我ながら女という生き物はなんて恐ろしいのでしょう。特に嫉妬に狂った女の狂気の凄まじさ。ほんとにどんなホラーより怖かったです。気をつけなければ。レモンキャンディと睡眠薬の映画。

ロバート・シオドマク傑作選 暗い鏡 [ オリヴィア・デ・ハヴィランド ]
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以上、フィルム・ノワールの映画100本から厳選した「本当におもしろいフィルム・ノワール傑作選」でした。これからまだまだ観ますので、もっとすごい名作に出会えばその都度更新したいと思います。

 

 

 

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2件のフィードバック

  1. シネフィルKT より:

    こんにちは〜
    さすがのチョイスですね〜

    まだ見てないのがあったので、探してみます(観ますかな?)

    • yukico より:

      シネフィルKT さま
      こんにちは。ありがとうございます!気づいたら100本超えてました
      まだ観られてないのが一本でもあってよかったです〜!

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