CQ

 

こんばんは。

今夜のひとり映画は、「CQ」(2002年アメリカ)です。

この映画は、「ゴッドファーザー」(1972)シリーズなど多くの名作で知られる映画監督、フランシス・フォード・コッポラの息子である、ローマン・コッポラの監督デビュー作であり、脚本もローマン自らが手がけております。

主人公ポールには、テレビドラマ「LOST」シリーズのジェレミー・ディヴィス。ヒロインには、スーパーモデルのアンジェラ・リンドヴァルが抜擢されております。

また、1999年に「ヴァージン・スーサイド」で一足先に監督デビューを果たした、妹のソフィア・コッポラも端役で出演しております。

以前一度観て、うろ覚えではありますが、とにかく「良かった」という記憶だけは残っている作品ですので、今回観るのが非常に楽しみです。

それでは作品情報をどうぞ。

 

 

作品情報

1969年パリ。2001年の未来を舞台にしたSF映画「ドラゴンフライ」の編集をしているアメリカ人青年ポール。彼はまた自主映画作りに熱中しすぎるあまり恋人にあきられる始末。そんな一方で、「ドラゴンフライ」のプロデューサー、エンゾと監督アンドレイはエンディングに関して互いの考えを譲らず衝突し、エンゾはアンドレイを解雇してしまった。そして巡り巡ってポールに白羽の矢が立ち、監督を任されることに。ポールはエンゾからオーダーされたエンディングに悩まされると同時に、主役の女子大生ヴァレンタインに次第に惹かれていく。

allchinemaより

出演■ジェレミー・ディヴィス

アンジェラ・リンドヴァル

エロディ・ブシェーズ

ジェラール・ドパルデュー

マッシモ・ギーニ

ジャンカルロ・ジャンニーニ

2001年 第54回カンヌ国際映画祭正式出品作品

2002年公開 88分

 

 

感想・レビュー

★★★★☆ 4

この映画は、ずばり「映画好きの、映画好きによる、映画好きの為の」映画です。

監督であるローマン・コッポラの映画愛と映画マニアっぷりが、様々なシーンからひしひしと伝わってきました。映画に魅せられ、映画のことしか考えられなくなった主人公ポールは、ローマン・コッポラそのものなのです。「CQ」は、彼を形成したすべての映画たちへのオマージュ、感謝、そして愛でいっぱいです!

映画内映画「ドラゴンフライ」

舞台は1969年のパリ。アメリカ人のポール(ジェレミー・ディヴィス)は、フランス人の恋人マルチーヌ(エロディ・ブシェーズ)と一緒に暮らす部屋でカメラを廻し、私的映画を撮っていた。一方仕事では、正反対のスパイSF映画「ドラゴンフライ」の編集作業に追われる日々。ふたつの映画のことばかり考えて、マルチーヌを寂しがらせていることに、ポールは気づきながらも、映画の事がどうしても頭から離れない。そんなある日、「ドラゴンフライ」のラストを巡り、監督アンドレイ(ジェラール・ドパルデュー)とプロデューサーエンゾ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)が大激突。エンゾはアンドレイをクビにして、新鋭監督ファブリツィオ(マッシモ・ギーニ)を次期監督に指名する。

 

この映画では、フェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」(1963)やフランソワ・トリュフォー監督「アメリカの夜」(1973)と同じように、映画の中に別の映画が登場するのですが、その映画内映画「ドラゴンフライ」が、様々な古い映画を彷彿とさせるシーン満載でおもしろかったです。

まず部屋で依頼を受けるシーンは「唇からナイフ」(1966)のワンシーンから。主人公の女スパイのキャラクターは「バーバレラ」(1968)ですし、ストーリーは「続・黄金の七人 レインボー大作戦」(1966)にかなり似ていると思いました。他にもポールの私的映画の手法がゴダール的であったり、ファブリツィオの映画がミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望」(1966)風だったりと、端々に遊び心溢れる仕上がりとなっているんですね。

もちろん、そんな映画知らないという方にとっても、「ドラゴンフライ」は、キュートでポップでおもしろいですし、逆にこの「ドラゴンフライ」を観て、古い映画の中に似たシーンを探してみるのも楽しいのではないか思います。

ヴァレンタインとの出会い

新監督ファブリツィオのもと、「ドラゴンフライ」の再編集を行っていたポールは、ある日、アフレコ撮りでスタジオに訪れた、ドラゴンフライ役の女優、ヴァレンタイン(アンジェラ・リンドヴァル)に惹かれはじめる。そんな時、ファブリツィオが事故に遭い「ドラゴンフライ」の監督を降り、代わりにポールが監督を引き継ぐことになる。

 

ドラゴンフライとヴァレンタインを演じるアンジェラ・リンドヴァルが、本当にきれいでかわいらしくていいんですよね。この映画でいちばんのハマリ役かと思います。ちょっとハスキーな声も素敵ですし、スタイルは言うまでもなく抜群です。よく監督は主演女優に恋していると言いますが、この辺りはそういった監督あるあるも盛り込まれているのかも知れないですね。ただでさえきれいな人を毎日ファインダー越しに覗き見していれば、そりゃ好きにもなりますよね。

ラストに頭悩ませながら

「ドラゴンフライ」の結末について頭を悩ませるポールは、ある日飛行機の乗り継ぎで近くまで来た父と会って話をする。そこで父からふしぎな夢の話を聞き、プロデューサーのエンゾが待つイタリアへ向かう。映画の結末についていくつかのアイデアを用意したポールに、エンゾはいくつかのアイデアより最高のものをひとつとアドバイスをする。最高のラストに頭悩ませながらも、年越しパーティで楽しんだポールはその夜、父から聞いた不思議な夢の話と同じ光景を目の当たりにする。

 

個人的にはこの辺りがいちばん好きです。自分の映画ではなくても、「ドラゴンフライ」のラストについて真剣に向き合い、心からストーリーが湧きあがってくるのを待つポールの姿が、非常にうまく描かれていると思いました。エンゾは業界によくいそうな商業的なプロデューサーで、自分の自慢話ばかりしては、映画で最も重要なのはラストシーンであるという価値観を押し付けてくるのですが、それにもめげずに最高のラストを考え続けるポールを突き動かすものは、映画への愛、ただそれだけなんです。

撮影終了目前で

ラストが決まり、パリに戻ったポールだったが、そこにはマルチーヌの姿はなかった。喪失感を感じつつも、「ドラゴンフライ」のラストシーンの撮影に取り掛かったポールだったが、撮影終了を目前にある事件によって撮影が中断されてしまうのだった。果たして「ドラゴンフライ」のラストはどうなってしまうのか…。

 

ここでちょっとしたカーチェイスがあるのですが、このシーンもおそらく何かの映画へのオマージュではないかと思われます。ただ、私には何の映画なのかわかりませんでした。そして、最初の監督であったアンドレイが再び登場するシーンでの、彼とポールの会話からも、ふたりの映画へのただならぬ愛を感じずにはいられませんでした。

 

 

ひとりごと

今回の「CQ」を観て感じた事は、とにかく映画への愛、それが全てだと思います。

トリュフォーの「アメリカの夜」も、公開時のタイトルが「映画に愛をこめて アメリカの夜」であったように、映画に対する並々ならぬ愛を感じさせる作品ではありますが、私はこの「CQ」の描き方の方が好きですね。

それから音楽の使い方がすばらしいですね。

ローマン・コッポラは、ミュージック・ビデオを何本も撮っているだけの事はあって、映像と音楽がぴたりとかみ合って、観ていて気持ち良かったです。

サウンドトラックもすごくいいですよね。「ドラゴンフライ」のサウンド・トラックの作りこみ感もすごいですし、それ以外のシーンでも、ポールが空想でドラゴンフライのいる月面の世界へ入っていくシーンや、パーティーのシーンなどで使われる音楽がすごく良かったです。このサントラは欲しいですね。買いましょう。

ひとつだけ残念だなぁと思ったのが、主人公のポールを演じたジェレミー・ディヴィスです。私が監督なら、もう少しだけ存在感のある俳優を使いたいですね。主人公ですので。

それでは今夜はこの辺で。

おやすみなさい。

 

 

 

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