若尾文子の映画「美貌に罪あり」(1959)を観て久しぶりに泣いてしまった

 

こんばんは。

今夜ご紹介するひとり映画は、「美貌に罪あり」(1959)です。

この映画は、チェーホフの「櫻の園」を下敷きにした川口松太郎の原作を、監督・増村保造で映画化し、1959年のお盆映画として公開されました。

出演は、若尾さんはもちろん、山本富士子、勝新太郎、そして川口松太郎の息子である川口浩など、大映の看板俳優が勢揃いした非常に豪華な作品となっております。

長らく幻の名作となっておりましたが、2016年にようやく初DVD化されましたので、まだの方はこの機会に是非。但し、残念ながら現時点でレンタル・配信には取り扱いがないようです。

それでは作品情報とあらすじをどうぞ。

 

 

作品情報・あらすじ

東京近郊に、150年続く大きな屋敷と蘭や切花の農園を持つふさ(杉村春子)は、二度も夫に先立たれ、父親の違うふたりの娘がいた。

姉の菊江(山本富士子)は女流舞踏家を目指し家を出て、若手舞踏家、藤川勘蔵(勝新太郎)の内弟子となっていた。やがて藤川と結婚した菊江だったが、藤川の育ての親である粂川の女将から猛反対を受け、稽古場のある家を追い出されてしまう。

一方妹の敬子(若尾文子)は、幼馴染の忠夫(川口浩)や、蘭作りの名人で隣に住む周作(川崎敬三)と共に母の農園の手伝いをしていたが、ある時突然スチュワーデスの試験を受け家を出て行く。密かに敬子を思い続けていた忠夫は、ドライな敬子に腹を立て、長年の仲に亀裂が生じはじめる。

忠夫の妹で聾唖のかおる(野添ひとみ)もまた、農園を手伝いながら密かに周作に思いを寄せていた。

団地建設のための立ち退き話にも断じて応じず、必死で家を守ろうとしてきたふさだったが、娘たちが家を出た上に現状は厳しく、最後の一手として新種の蘭の開発に懸けていたが…。

美貌に罪あり [DVD]
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出演■若尾文子(吉野敬子)

山本富士子(吉野菊江)

杉村春子(吉野ふさ)

勝新太郎(藤川勘蔵)

川口浩(清水忠夫)

野添ひとみ(清水かおる)

川崎敬三(谷村周作)

監督■増村保造

脚本■田中澄江

1959年8月12日公開 87分

 

 

感想・レビュー

★★★★★ 5

久しぶりに映画を観て泣きました。何これ、超良いじゃないですか!

3つの恋とお屋敷の立ち退き話が絡みながら進んで行きますが、菊江、敬子、かおると、それぞれの恋模様が全部良いです!全員が正直で真っ直ぐで、観ていて非常に気分が良かったです。台詞もいちいち良くて、脚本が素晴らしいですね。そして、ごちゃごちゃしがちなストーリーを簡潔且つ感動的に、完璧なバランスで87分にまとめ上げた増村保造監督もまた素晴らしいです!俳優陣もひとり残らず素晴らしくて、なぜ長年DVDも出さずにいたのか不明ですが、とにかく名作ですので買ってでも観るべし!

 

見どころピックアップ

  • 菊江と勘蔵の踊りのシーンが何度かありますが、息が合っていて素晴らしいです。山本富士子さんの美しすぎるお姿に目が眩みます。
  • 若尾さん演じる敬子のキャラクターが良いです。可愛らしいです。ドライで野心家なんですが、一度の失敗でへこたれて忠夫に泣きつくところなんて、かわいいですね。
  • スチュワーデス姿にパーティドレス姿、ワンピースに水着姿など、キュートなファッションで登場する若尾さんがあまりにも素敵です。スチュワーデスの先輩と暮らす原宿のマンションもなかなかです。
  • 野添ひとみ演じるかおるがまた良いんです。耳が聞こえなくても、明るく前向きでピュアなかおるが、お茶目で清楚な雰囲気の彼女に似合います。川崎敬三も良いですし、全員がはまり役です。
  • 川口浩の白シャツ姿が素敵。川口浩ほど白シャツの似合う男っていないと思う
  • 敬子と忠夫が仲直りするシーンが良かったですね。ここで思わず泣きましたそこからラストまでジーンとくるシーンが満載で泣きっぱなしでした。
  • ふさが近所の人に一言添えながらお酌をしてまわるシーンが痛快です。ここは最高です。
  • 菊江とふさの盆踊りのシーンが素晴らしかったです。たっぷり時間をとって魅せるだけのことはあって美しいシーンです。

 

 

ひとりごと

良いです良いですってそればっかりで申し訳ないですが、本当に素晴らしい作品で、悪いところが見当たらなかったですね。名画座での上映もほぼないと思いますが、いつかと思って待っているうちに見逃してしまうにはあまりにもったいない作品ですので、思い立ったらすぐにでもDVDを買って観る事をお勧め致します。久しぶりに出会った何度でも観たい映画。

それではまた。

おやすみなさい。

 

 

 

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